2つ超えている男
仕事仲間で一人
変った電気屋の仲間がいる
彼の名前は平野さん。50歳
なんだろう自分が平均的とは
思わないけども1つではなくて
2つは最低超えている人がいて・・・
もともとは7、8年前
ビジネススタイルが確立する前
エアコンの修復なども請け負った
だからそういう事が得意な人と出会って
2年間お世話になった。
その後しばらく疎遠だったけど
ある日、ビルの汚水層が溢れ出し
地下1Fが大変な騒ぎに。
知らない不動産会社からの電話だったけど
真面目な会社さんでその会社の社員さんも
夜中だけど立ち会うらしく行くことにした。
結構なサイズのビルだから
電気屋である平野さんも来てもらうことに
彼はいつでも連絡がつきやすい。
平野さんは最初に言ってしまうと
正直オツムの具合がよくない。
同じ景色が見えていない気がする。
住んでいるところもよくわからない
仕事の依頼をするようになって
彼は新しい車を買った。
きゃらを君、車欲しかったら言ってよ。
俺の友達が安く売ってくれるよ
10万もあればいい車買えちゃうよ。
凄く安いんだぜ。俺も買っちゃったよ。
友達を紹介する人だから
悪い人ではないなと思った。
しかし随分安いな
そんな安い車では壊れないか?
そんな杞憂は3日後に現実になった。
きゃらを君今日御免動けない。
車が急に動かなくなった
今京浜高速の上にいてレッカーまってる
変な車つかまされたよ。あいつ許せないな!!
ヤフオクで安い車買ったらだめだよ
ヤフオクだったんだ・・
何を俺は教わってるんだ?
友達じゃなかったんだ?
そうか友達になったんだな。
さらに車屋さんに車を持っていき
帰りの電車で携帯を忘れてしまった。
拾ってくれた人が俺の電話に出て
落とし主さんに伝えてほしいとのこと
今、横浜にいるらしいけど
埼玉の奥地の方の駅で降りるらしい
駅員さんに渡してもらうようお願いした。
翌日彼は長時間の往復を余儀なくされた。
携帯電話を回収したとき電話がかかってきた。
きゃらを君。携帯電話は
電車で落とさない方がいいよ
携帯電話は電車に限らず落としてはいけない。
携帯の意味がなくなるじゃないか
彼の言葉には重みがある。
それは経験から出ている言葉だからだろう
しかし内容がどうしても軽いのは
そのままオツムの軽さなのだろう。
また彼は携帯を落とした時
公衆電話から電話があった
クロネコヤマトのFAXサービスを
利用すれば連絡が取れるとのこと。
それを自慢気に説明してくる
その自慢気はどこで製造されるのだろうか
名刺にあるFAX番号は何だろう
それに当たり前のように
ヤマトのFAXサービスを知っているならば
常習犯の可能性が高い。
必要のない生きる知恵を
彼はいっぱい知っていた。
良い歳なのにまた少し粋っていて
俺は横浜では県警の仕事してるから
捕まらないんだよね~
みんな知り合いなんだよ。
俺の車に積んであるヤマト
(宇宙戦艦ヤマトのプラモ)
これを見たら切符切らないんだよ
そのヤマトのプラモデル
確かに車内を改装して吊るしてはある
あるけど安物に見えてしかたない。
精密さがまるでない。
創刊号でいっぱい貰えそうな
雑なプラモデルの印象が拭えない
さらに軽のワゴンには畳が乗っている
自慢気に畳の寝心地の良さを教えてもらえた
畳が寝心地いいのは同意だけど
何処で寝ているの?
使えないFAX番号のある名刺
車内に畳を敷いて寝る生き様
だけど電話には必ず出る
謎の生命体
あるとき電話が鳴る
きゃらを君ごめん。
スピード違反で捕まった!
午前中は動けないとのこと。
捕まえたのは神奈川県警だった。
見えてきた友達サイクル
彼にとって世界はwe are the world
話を冒頭に戻す。ビルの汚水層の溢れ
ポンプでくみ上げるためには
電線の接続や異常も考えられるので
彼を呼んでおいた。
彼は電気屋さんだけど
アンテナ工事とかばかりで
あまり汚水槽とかの仕組みをしらない。
仲間はこの時、彼とは初対面で
汚水層とか知らないんだ?という
オーラが出ていたから
馬鹿にされまいと平野さんは思ったのかも
横浜には汚水層なんてないんだよ。
見たことが無いからね。
横浜には汚水層はなかった。
そんなわけはない。地下のあるビルは
横浜にはいっぱいある。
けど見たことがないものは彼には
全てがフィクションの世界だった。
どこから来るのか解らない強気。
それはどうでもいい。俺達がやるから
資格のいる工事の場合もあるから
その時に名義が必要だ。
ちゃっちゃと俺らが片づけていく様が
彼を興奮させたのだろうか
来ていた管理会社の人に
料金の説明もしないといけないので
その説明をしていたら
彼はなんか1人興奮していて
料金説明の援護射撃のつもりかな
別に不動産会社さんも驚いていない
「お客さんこれね」
「俺は素人だからよくわからないけど」
「素人目に見てもこれくらい当たり前だよ」
こいつは何を言い出したんだ?
お前は誰で何目線なの!?
素人が素人に説明する必要はないし
上から目線である必要はない
そして何で強気なの?
お客さんも俺も仲間も
彼を見て爆笑してしまった。
さて明日からちょっとした工事が始まる
電気屋さんが必要かどうかは解らない
最悪は俺達でできるけど
資格が必要になる場合もある
必要なら腕の良い
電気屋さんの付き合いはあるけど
年末に時間が合うかわからない。
でもいつも空いてる人がいる。
もちろん数時間単位の調整は必要だ
それくらいは働いているだろう
養生を手伝ってくれるだけで
ありがたいし彼を入れた。
現場で危険な作業をするとか
注意力がないようなことはない。
生き方に難のある人にすぎない
良い人だから愛されている
何より独特な空気感が面白い。
文章では表現しきれない男がいる
この人の面白さは書ききれないな。
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