侵入者
俺はこれ泥棒を生業にしていて
結構な屋敷というか
まぁ言ってしまえばキャッスルかな
忍び込んだんだよね
だけど不気味なんだよな
何か視られているような感覚
とっととお宝ゲットしてズラかろう
なんかでも奇妙な歌声が聞こえてくるな
カーイカイカイッ
カーイカイカイッ
誰かがどこか痒いのだろうか?
そういえばこの時期蒸し暑くて
蚊も多いからな
俺もなんか背中を刺されているみたいだ
ちょっと背中が痒い
意識すると物凄く痒いよ
仕方ないので少し壁の角で
背中を擦りあてていた
あーきもちいい
カーイカイカイ
カーイカイカイ
見つかってしまった
声は大分遠いと思ってたけど
結構ちかかったな
「・・・・・・・・・・」
「何してのこんなところで?」
子供かな
身長はそれほど高くない
「ぼっちゃま何してるザマス?」
誰か違う奴もきたみたいだ
ぼっちゃま?
ということは、この少年は
この城の主の息子なのかな?
でも子供が起きていていい時間じゃないぞ
「ねぇー何してるの?」
「背中を掻いてました」
「背中が痒いの?」
「はい」
「どうして背中が痒いの?」
「多分、蚊に刺されたからです」
「蚊に刺されたってどこで?」
何処と言われてもなぁ
「いつ刺されたかはわからないです」
「いつから痒かったの?」
「ぼっちゃまがカーイカイカイと
歌ってた時には既に痒かったです」
「それはどのへんの
カーイカイかな?何分前くらい?」
何分前くらいかな・・
時計は持っていないからな
「おそらくは10分くらい前ですかね」
「10分前くらいに蚊に刺されたの?」
「多分そうだと思います」
「その時はどの辺を歩いていたの?」
いるぅ!!?この質問攻め!!
そんな事よりもまず
不審者の俺を疑えよっ!!
そこを質問しろ!!!
「ぼっちゃま、泥棒も困惑しているザマス。
ここは私が一つ尋ねてみるザマス」
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