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才能

久しぶりにショートショートを書きました
宜しくお願いします。

大学を出るとき
就職活動を大してしなかったから
電話営業1本の営業会社に就職したんだ

いつ話を聞いて貰えるのか解らない電話
毎日兵隊のようにただ電話をかける
ヒットすることはなかなかない

そんな中で電話をかけながら
何気なく手にはボールペンを
持っているので、メモ紙に
イラストを描いてなぞっていく

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そんな日々が続いた
大学生の時は活き活きとしていたのに
社会の歯車になったとたんに
なんか全ての景色が色あせていく

だが、自分には夢があった
いつか小説家になりたい!!
そんな思いがある

懸賞サイトに応募しては落選する

落選したことを教えてくれる応募はいい
殆ど送った原稿用紙すら戻ってこない

それでも小説を書くのが好きだ
落選しても楽しめる
何がいけなかったのかを考えるのも楽しい

小説を書くとき自分は
感情をこめて書いている

時に泣いて、時に笑って
面白いと思うのにな

そんな生活を暫く続けていると
いきなり、社長に呼ばれたんだ

成績が悪いから
いよいよ辞める方向で話をされるかな?
毎日上司に嫌味を言われる
嫌味だと解らないほど無神経な
人間でもないから毎日傷つくんだよな

自分には営業センスがない
それは解ってる
毎日、自己肯定感が低くなる中で
電車に揺られて家に帰って
寝る前の1時間は
自分にとっては最高の時間なのさ

そう、小説を書いている
でも、クビになったらどうしよう?
そう思いながら社長室のドアをノックした

『失礼します』
「君がきゃらを君かい?」

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『はい』
「君は営業の電話中に何を描いているんだ?」
『え?』
「そうそう。これ君が描いた絵だろう?」

見せられたのは、私が電話中に何気なく
手持無沙汰で描いている落書きだった

「これ、すんごいアートだな全く
 気に入ったので知り合いの画家にみせたら
 その画家がどうしても欲しいと」

『え?』

「そうそう、その絵のことだ」
ちがうちがう、さっきからの”え”は
驚きのえっだし
それが絵だとしたら社長にたいして
大分無礼な口のききかたになる

けど・・それを許しているのか
気づいていないのか社長は上機嫌だった

「君さえよければ
 毎日イラストを描かないか?
 それが売れれば君のものにすればいいし
 君のような才能を私は凄く好きなんだ
 電話営業なんかしなくていいから
 毎日イラストを描きなさい」

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