連休と電車遅延と高尾山、そして 『仕事のためには生きてない』
『仕事のためには生きてない』安藤祐介・作(角川書店)
「やっていることが何のために必要なのかわからない。今の私の仕事とまったく一緒。共感できる」と知人から勧められて読んだ本。
主人公ユーキチが「働く」理由は、大学時代からの仲間とロックバンドを続けるため。そう割り切りながらも、新しく新設されたチームリーダーに抜擢され、会議資料のための資料作りに、事前ネゴのためのネゴ、そして大量のコピーに忙殺される日々。「自分はどうしてこんなに働いているんだろう」と、彼のため息がリアルに聞こえてくる。
この本を教えてくれた知人も、56ページの資料を32人分のコピーを取りながら、残業していた。
そして私自身も、今の自分の仕事が会社にとって何の役に立っているか、つー高尚なレベル以前の問題で悶々している。最近会社にいると胃腸の調子が悪くなる。
きっと会社の人間関係とか、仕事に膿んでいるのか、悩んでいる人は多いんだろう。
今年のゴールデン・ウイークは心身をリフレッシュするために、活動的に過ごそうと思って、4月28日に今年2度目の高尾山に登ってきた。
疲れた時に山はいいぞ
毎年、ゴールデン・ウイークは高尾山も激込み。ストレスなく登るために少しでも早く登山口に着いていたい。
山のためなら早起きできるワタシ。
ということで張り切って6時過ぎの電車に乗ったのに一駅進まず、急ブレーキ。
乗った車両で人身事故。
なんてこったい。
車内には土日も働く人たちが乗っている。
あちこちから、電車が止まって職場到着が遅れることを携帯電話で連絡している話声がする。
この連休を、楽しい気分で迎えられなかったんだろうか。連休が終わった後のことをふと考えてしまったんだろうか。
みんな何かを悩んでいるんだな。そんなときは山に誘いたい。
とにかく歩けば、ゴールがあるのだ。
今日も今日とて、高尾山から望む富士山は絶景だ。
そして帰りの電車。先行電車で人身事故。
今度は車両を降ろされた。
ゴールデン・ウイークも始まったばかりなのに……。
行きも帰りも。
なんてこったい。
『仕事のためには生きてない』で、リードギターのジョージが言っていた。
ステージ4の胃ガン宣告を受け、病床でユーキチ(主人公)に語ったセリフだ。
そっか。だったら私もロックな人生を送れているのかも。
それは楽しいじゃないか。
ゆうても、ロックンロールがよくわからんのだけれど。
もし人の悩みを聞いたとしても、私はその人の悩みを100%理解できるとは思えない。だってその人の悩みはその人のものだもの。
寄り添うことも、相手が望むほどに理解もできないだろう。
だから軽々しく無責任に「わかるわかる」とか「がんばれ」とか「やってみたら?」なんて言えない。自分が言われたら嫌だし。
悩んでいるときは本もいいぞ
できることといえば本を進めることくらいだ。
山に登るものしんどいなら、人と会うのも辛いなら、この本を読んでほしい。
この本でなくてもいい。
小説でもエッセイでもなんだっていい。
本ではいろいろな人に出会えて、たくさんの思想に触れることができて、その時の自分に寄り添ってくれる言葉に出会えるものだ、と私は思う。
なんてったって、生きているだけでロックなんだから。
今、ちょっとこのフレーズがマイブーム。
ちなみに、私にこの本を進めてくれた知人は、この春、32年務めた会社を退職して新たな道に一歩踏み出した。
ロックだなぁ。
ゴールデン・ウイーク後半、事故は最小限でありますように。
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