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魔法の単語

それは「同期」。

今まで、職場で「同期」がいたことがない。
初めて会社員になったとき、新入社員は一人きりだった。
以来、何度か転職を経験したけれど、同じタイミングで入社した仲間はいないので、もう自分には縁がないものだと思う。

社会人10年目を過ぎたくらいだったか、TVで女子アナウンサーが「仕事でうれしかったときや、たのしかったときは共に喜び、つまづいたときや辛かったときを乗り越えられたのは、やっぱり同期の存在ですね」とかなんとか、同期のありがたさを語ったとき、心底うらやましかった。
いいなぁ同期。すばらしいなぁ同期。
そうやって社会人として会社員として、大きな仕事も任されていくんだなぁ。成長するんだなぁ。それに引き換え、わたしゃ、今の会社もつぶれそうだよ。そんな時期だった。

憧れは頂点に達した。
選ばれしモノにしか与えられない勲章のごとききらびやかな言葉に昇華した。

それ以来、職場で「今日は同期会なの」なんて聞くと、「後片付けはやっておくから、気兼ねなく行って! 同期大事!」と無条件降伏。
何といっても「同期の桜」と歌われるほどだものな。得難くも尊いものなんだ、という思い込みができてしまった。
「あのブドウはすっぱかったんだい」とあきらめるしかない。

だからか、せめて習い事やサークルの同期は大事にしたいと思っている。
先日、とあるサークルの同期会があった。
会社の同期というものよりは、繋がりも薄くて、きっとすぐに消えてしまうだろうものだけど、お声がかかるとうれしくて、私の出席率は高い。
大事にしていれば、いつかそのうちいいこともあるだろう。

「同期」
私にとって魔法の単語だと思う。


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