いわき昔野菜保存会
2月4日、コロナ禍で延期が続いていた、いわき昔野菜保存会のイベントが開催されたので高速バスに乗って行ってきた。3年ぶりのいわきだったかも。
同会は、震災の前から在来野菜の調査をされていて、私は2012年に調査員の方々と知り合い、それ以来取材にかこつけては、イベントのたびにいわきに通っている。
※いわきでは在来野菜を「いわき昔野菜」と呼んでいます。
午前の部では、生産者の方による「大久じゅうねん保存会」の取り組みが
紹介された。
震災の前も、震災の後も、そしてコロナ禍でも、
「自分で自分の食べるものを作ることができるのは幸せだ」
と話されたのが印象的だった。
午後の部では、いわき昔野菜の種を譲り受けた方が、
やってみて効果的だったこと、反省点などご自身の体験を話されていた。
こういう情報の共有こそとても大切で重要なことだと思う。
毎回有識者を招いての講演会もあり、いつも勉強になる。
このような活動を、メディアで取り上げてもらえないだろうか。
そのためにはどうすればいいだろう。
自分に何ができるだろう
保存会の方々の活動報告を聞くたび、自分に何ができるだろうと同じところでループする。
いわき昔野菜だけでなく、在来野菜はそれこそ地場に根付いた郷土野菜だから、他県にはほとんど流通しない。
よしんば手に入ったとしても、おいしい食べ方がわからない。
「種を守る」ということがどれほど大切なことか、勉強すればするほどわかってくるのに、もっと広く知ってもらうためにはどうすればいいのか、
突破口が見つからない。
ライターは興味を持ってもらえるような、とっかかりとなる入門書を書くのが役目だ。
専門書は専門家の方に任せればいい。
いつもそう自問自答を繰り返しながら、これからも私は人と種を追いかけていくだろう。
『今、なぜ種が問題なのか』
いわきの昔野菜保存会の方々の活動を追ったルポルタージュ本。
このタイトルは、歴史春秋社の社長が考えてくださったもの。
はじめは『種を守る人々』として提出していたのだけれど、決定稿では変わっていた。
タイトルは著者の思い通りにはいかない、とはこの業界ではよく聞くので、異議も唱えずありがたく受け入れた。
そして今、このタイトルがものすごく腹落ちしている。
さすが老舗出版社の社長だと思う。
乞う。おいしい食べかた
「むすめきたか」は、遠くに嫁いだ娘が里帰りしてきたとき、すぐに煮てさべさせることができる、というところから名付けられたそう。
代々受け継がれて残ってきた種だけに、そのストーリーも味わい深い。
いわき昔野菜の代表ともいえるこの豆。
せっかくだから失敗しない食べ方を! と思って、つぶあんにした。
明日の朝はぜんざいだ。