自分の心地よい居場所を作り上げるこどもたち
2021年11月20日
最近小学生や大学生の知人から葉書や電話で、薪割り爺さんの世界に浸りたいという感じの連絡が来ることが有ります。一人の大学生が薪割りをやってみたとやってきました。その時は都合よく、太さが50~60㎝の薪材がごろごろと転がっている状態でした。樹種はケヤキとクスノキとエノキです。学生はエノキに向かって鉞を振り下ろしました。エノキは鉞をはじき返しました。割れません。何度も本気で向かって行っても、エノキに鉞の傷跡はつくのだが割れようとはしませんでした。昼食の時間が近づいたころに、新たに学生3名が、薪割り爺さんのピザ窯でピザを焼いて食べる体験にやってきました。初対面の若者同士がピザを食べながら言葉を交わしていました。帰宅の時間がくると1台の車に4人が乗り込みました。ステキな出会いの場になったねと見送りました。
薪割り爺さんはチエンソーの切れ味を良くしてから、太い薪材を鉞で四つ割りができるように切込みを深く入れました。ケヤキもクスノキもエノキも全部です。
夜受話器から「薪、割りたいです」と、あの薪割り学生からの電話でした。そして日曜日に大量の薪材を割ってくれました。帰り際に積み上げた薪を見て「けっこう割りましたね」と満足そうな一言を言い残してくれました。
11月23日に、薪割り爺さんの世界やスローライフの場を求めてやってくる人たちがいます。ビーバー隊の親子30名です。大人数ですが、薪割り爺さんが大切にしていることを体験させたいと、リーダーは考えているようです。
当日は隊が収穫した新米でご飯を炊いて食べる予定です。参加者一人一人にスローライフの忙しさや、不便で楽しいスローライフに気づいてもらう体験を考える楽しさに今浸っています。
当日
10:30ころ「のんき家」にやってきました。挨拶が終わると同時に子どもさんたちに聞いてみました。今日は何をするのか教えてくださいと。ぽつぽつと答えてくれました。「 今日は ご飯を炊く お父さんが言っていた」とか、「野菜を蒸す」・「味噌汁も作る」・「ドラム缶風呂を沸かす」と私に伝えてくれました。子どもさんたちが自分の活動を知っていることが大切だと考えているからこのような始まりにしました。
「分かった」・「では火を焚くことだね」・「実験をするから手伝って」・「ここにマッチで火をつけてみて」と言った。同時に「ハイハイ」と何人もの子が希望してきました。じゃんけんで私に勝ち残った子に点火してもらいました。杉の枯れ葉がパチパチと燃え上がりました。それから火を焚くときの最初の薪の組み方を見てもらいました。杉の枯れ葉を拾い集める班・ドラム缶風呂に井戸水を入れる班・薪を細く割る薪割り班に分かれました。自分がやってみたい班に入って活動を始めました。新米のご飯炊きは大人の役割です。
薪割りは、鉞を振りおろした時に、的を外すと鉞が振子になって自分の脚を直撃することになります。膝と腰を折りながら鉞を真下に振り下ろすようにすることを伝えました。薪割りを見せると割れる薪を見てしまうので、膝と腰を指で差し、ここを見てと言って薪を割り、その姿勢を維持したままもう一度膝腰の折れ具合を見てもらいました。
スギの枯れ葉集めの班は家内といっしょに山に出かけました。子どもたちが前日の雨で燃えにくいことに気づくといいねと家内と話し合っておきました。気づかないまま沢山な杉枯れ葉を集めて帰ってきました。「ありがとう いいね いいね」と言いながら拾ってきた杉の枯れ葉を手にして「あれ 濡れている 燃えない」と言いました。
「さて どうする」と、子どもたちに問いかけてみると「ドライヤーで乾かす」・「天日干しにする」などが帰ってきました。(親御さんたちがこのやり取りを見ている視線を感じたので一言伝えました。私が準備している答えへ導くための質問であってはならないと思います。子どもさんからステキなアイディアが飛び出したら、そのことを具体化したみることも大切だと。)
子供さんたちにちょっと待ってもらい、物置から大きなビニール袋をだしてきました。子どもさんたちに乾燥している杉の枯れ葉と濡れている杉の葉に触ってもらいました。そして乾燥している杉の葉と、濡れた杉の葉と交換をして使うことになりました。
炊く・沸かす・蒸す・焼くための火を起こすのですが、その前に山火事の話しをしました。今日は前日の雨で落葉も山も濡れているので燃えにくいが、乾燥している日は、落葉に火がつくと大きな山火事になってしまうことを説明しました。
干し芋とさきいかは手作りウッドストーブに火を焚き、そこで炭をおこして焼くことにしました。関わってくれたのは幼児2~3名と家内でした。ウチワで風を送ると、黒い炭が赤く変化することに興味がわいたのか、良くあおいでくれました。炭火で焼いた干し芋を食べたベテランキャンパーが「煤で黒くならなくていいね 旨いね」と言ってくれました。幼児に人気だったのは「さきいか」でした。家内が母親たちに「たまには いいですよね」と言って、沢山食べてもらいました。
新米を焚くは、水加減が良い加減ではなかったのか、新米の特有の香りは感じられなかったのが少し残念でした。ドラム缶風呂を沸かすは、大量の薪が必要でした。薪割り班は忙しそうにしていました。そのお湯で足湯ができる場所を作りました。足湯に浸かりながら、親御さんが運んできてくれたご飯を食べました。ドラム缶風呂に入った子は一人でした。(もったいない)
生野菜を蒸して食べるための薪ストウブに特に興味を示した子が、3時間火を切らすことなく焚き続けてくれたおかげで、各家庭の蒸野菜ができ、サトイモも二鍋を蒸すことが出来ました。
ボーイスカウトのリーダーさんが、こんな狭い空間で多様な体験が出来ることに驚いていました。
子供さんたちは、この場になれ、この場の空気感を感じとり、制約のない世界で、自分の興味あることに集中し、自分の心地よい居場所を作り上げていました。大人たちからの具体的な応援に喜びを感じていました。やがて子どもたちは、応援をする側の喜びも味わいたいと行動をおこすことでしょう。
親御さんたちは、我が子の日常とは違った、子供らしさを感じとってくれていたようでした。
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