裏山の散歩

日当たりの良い我が家の縁側で、登山靴を履いた。目の前の小高い山を登り標高250~350mのピークが幾つも連なる尾根を歩いた。関東に雪を降らせることもあるという寒い日だ。歩き始めると体がぽかぽかしてきた。空気は冷たいが日差しは暖かい。歩きながら春に気づいた。毎年この春早い時期に咲いている「ウグイスカグラ」の花に今年も出逢えた。薪割り爺さんはこの瞬間にポカッと春になれるのだ。尾根を下り田んぼに出た。これからの農作業に備えて、野焼きを行っていた。

ポカッと二つ目の春に出会えた。「ネコヤナギ」だ。花芽の幾つかが、寒さから花芽を守ってきた「芽鱗」を脱ぎ去り、銀色に輝く絹綿のような綿毛を見せてくれた。日がたつと銀色の綿毛が鮮やかな紅色に変わり、さらに日がたつと黄色く見える様になる。綿毛の間から白い糸のようもの「花糸」が伸びてきて、その先に花粉を包んでいる袋のような「葯」が赤いのだ。葯が割れると黄色い花粉が飛び出すことになる。この間は何度となくマクロレンズを向けることになるのだが、今年は分からない。何かと忙しい春になりそうだ。この目の前にあるヤナギの木は、雄の木になり、花粉を待つ雌の木も近くにあるはずだ。(雌雄異株)

お知らせしておこう。この田んぼのある地域名は「横沢入」と呼ばれていて、多くの方が静かな「里山」の雰囲気と自然を楽しんでいる。薪割り爺さんがまだ若いころ、初めての出版物「カエルの鳴く山の田んぼ」(写真絵本)を、多くの方が手に取ってくださったことで、土地利用より保全だねと「里山自然保全地域」になったのだ。

さてと。来た道の反対側の尾根道に向かって、コナラ林の急斜面に挑んだ。(爺さんだから体力的にネ)コナラの落葉で滑りやすかった。でも転ぶこともなく登ったよ。ここにもウグイスカグラの木があったが、まだ花は開いていなかった。タヌキの「ため糞」を発見した。タヌキは糞をする場所が決まると、毎回その場所にする。他のタヌキも同じ場所にする。糞がだんだん溜まるのでタヌキの「ため糞」と呼んでいる。同じ場所に糞をすることで、排泄物からいろいろなことをタヌキどうしが知るらしい。標高307m位の尾根道に出た。幾度となく歩いている尾根道なので、今日は歩いたことのない下り道を歩くことにした。後ろを歩いていた妻が、知らない道を歩くと脳が活性化するよと声をかけてくれた。確かにキロキロと何かと安心情報を見つけている自分がいた。

歩数計は14700歩を記録していた。青空だった空は、黒いちぎれ雲が風に乗って流れ去っていた。薪ストーブに火を入れ遅い昼食をとった。

写真9115~6がウグイスカグラ・9144と9119はネコヤナギです。

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