ホテルの鉄板焼き調理から見えるヒント。フライヤーの油槽清掃方法について。
15ヶ月近くのブランクがありましたが、noteを再開しようと思います。
なかなか書く時間が取れないこともあったのですが、noteの投稿を会社のホームページに移してしまったことで、書きにくくなったこともありました。
どこまで続けられるかわかりませんが、改めてよろしくお願い致します。
再開しようと思ったきっかけについては改めて書きます。
先日あるホテルの鉄板焼きに行きました。その店舗は開店から10数年、最後に行ってから5年は経っていますが全く新品同様で、すごいなと思いました。
どのような清掃をすればこのように保てるのだろうと、そんな疑問も持ちながら、改めて鉄板焼きシェフの調理を観察しました。
広くて鈍く光る鉄板と、道具と言えば幅広の金属スクレーパー、調理面を拭く為の折りたたんだ布、そしてカットする際に使用するナイフのみです。
結局わかったことは、何か一つの調理を行うごとに必ずスクレーパーと折りたたんだ布で盤面を清掃し、常に元通りの状態に戻してから次の調理に取り掛かっていることでした。
実際に手を動かしている作業時間のみを計測すれば、きっと40%程度は清掃に費やしていると思われました。それ以上かもしれません。
フライヤーの油槽の清掃で面倒くさいのは、油面から上の部分に焦付きが生じてしまう事です。常に油が満たされている部分から下は全く焦付きは生じないのですが、空気に触れている部分、特に油に浸ったり空中に露出したりを繰り返す部分に焦付きが生じます。
なぜ水平な筋状に焦付きが生じるかというと、油に浮遊している固形成分が壁面に付着し、これが油面が下がって空気に触れている際に壁面に強く固着し、すると油面が上がった際により多くの固形成分が付着しやすくなり、これを繰り返しながら成長してしまうと思われます。固形成分が泡で持ち上げられて壁面に付着したり、気泡がはじけた場合にも付着は生じます。
新鮮な油を加熱しても、食材を投入しなければいくら長時間熱しても焦付きが発生しないことは想像できると思います。
クールフライヤーでは微細な揚げカスが沈殿してしまうので、油はきれいに保たれ、この結果付着と焦付きの発生も抑えられます。
そうは言っても付着は発生しますので、できれば少しでも小まめに耐熱の樹脂製または金属製のスクレーパーで、油を壁面に掛けながら洗い落として下さい。
このようにすることで油槽の清掃はラクになりますが、油の劣化抑制にもつながります。壁面に焦付きがあると、そこで固形成分の炭化が進むからです。
一方、油槽の清掃を「濾過機」を用いて行う方法は一般的です。
温度の高い状態の油を濾過機に落とし、濾過した上でこの油をポンプで油槽まで運んでノズルから放出し、油槽壁面の付着や焦付きを洗い落とします。この方法は、油槽の清掃に於いては完璧なほど高い効果があります。
ただ「油槽の清掃に於いては」と書いたのは、この方法には課題もあると思っています。
課題の一つ目は、温度の高い状態の油を濾過機に落とした段階で、せっかく沈殿していた水分が気化してしまうこともあり、濾過機のあるフライヤー下部の空間をオイルミストや油煙で汚してしまう事です。
二つ目の課題は、濾過機自体の清掃が容易ではないことです。
どうしても下の写真のようなことになりがちで、これではフライヤーの油槽はきれいになっても、厨房全体の清潔性は保てません。
ということもあって、卓上型クールフライヤーCFT-7では油のドレンを設けず、クールポッドと呼ぶ油の回収装置での運用を推奨しています。
油調理は汚れとの戦いです。
クールフライヤーは最も汚れにくいフライヤー、清掃運用の楽なフライヤーを目指して来ましたし、かなりのレベルで実現できています。
これにプラスして、油槽壁面を常にきれいに保つ運用努力をして頂ければ、油の劣化抑制ににも繋がる上、結局はトータルでの清掃運用を軽減することに繋がります。
鉄板焼きシェフのスクレーパー捌きを見ながら、そんなことを感じました。