ハンドメイド狂奏曲①『悪徳業者から買ったミシンの話』
SNS(特にTwitter)で繋がっている皆様であれば、私がスキルの低い主婦だということを、なんとなーく察していると思います。
料理に掃除、そして裁縫……。
はい、私はどれも苦手ですね。
今の時代、『男だから(女だから)、○○しなければいけない』という決めつけはナンセンスらしいですが、夫婦間で特に決め事がない限り、やはり家事の負担は女性側に傾きがちですよね? 特に裁縫は(※個人の感覚です)
私、その裁縫が一番苦手でして……_(^^;)
小学生時代は『たまむすび』『半返し縫い』『本返し縫い』が出来ず、家庭科ではかなり苦労しました。何故か『たまどめ』だけは出来たのですが……。
そんな不器用キッズだった私が苦肉の策で作り上げた作品は、《オール並縫い》で仕上げた、フェルトのペンケース‼️ 当時流行っていたサンリオキャラの『ゴロピカドン』をあしらったのを今でも覚えています。
当時の担任(30代男性)は、この提出物を見て大ウケ……。
「鈴木(私の旧姓)、お前は『並縫い女王』だなwwww」……と、頑張り(?)を誉めてくれたばかりか、女王という称号まで与えてくれました。
いい先生だと思いませんか? だって中学校で似たようなことをしたら、家庭科担当のBBAにめちゃくちゃ怒られましたからww(いや、コッチが普通か?)
ちなみに51歳現在の私、たまむすびは出来ますが、未だに『本返し縫い』『半返し縫い』は出来ません┐(´д`)┌
このnoteは、《ソーイングアレルギー主婦》の私が、必要に迫られたことでミシンを購入することになり、ほぼ詐欺状態の営業をされてしまった話です。会社名はボカシますが、皆様が似たような手口に出会わないように……という気持ちを込めて執筆させて頂きますm(__)m
子持ちには避けて通れない『アレ』
裁縫は、ほぼ毎日しなければならない料理や掃除と違って、必要に迫られることは、そこまで多くはないと思うんですよね。我が家では、たまに発生する『シャツのボタンが取れたよ案件』くらいでしょうか。
しかし子供が出来ると、数年後に『アレ』がありますね? 『アレ』が……。
はい、それは幼稚園(又は保育園)の入園です。
入園にあたって用意するモノの中に、絵本バックやシューズ袋などがあるのですが……、
『アレって全部ハンドメイドなのかなぁ?』
『やっぱ手作り強制なのかな?』
『市販品なんか持たせたらイジメられるのかな?』
……と、通りすがの幼稚園児が持つ、手作りであろうバックを憂鬱な気持ちで眺めていた私でした。
当時、ウチにはミシンがありませんでした。だって必要ないし、そもそも使い方がわからない……。
学生時代は器用なクラスメートに丸投げ手伝ってもらい、何とかその場をしのいでおりましたから(笑)
『元・並縫い女王』ではありますが、さすがにそれを我が子に持たせる勇気は持ち合わせておりません(((・・;)
「ミシン買ってあげるから、挑戦してみなさいよ」
そんな私を見かね、電話をくれたのは『孫命』の実母。母は一般主婦並の裁縫レベルを備えてはおりますが、ここで代わりに入園グッズを作ってしまえば、今後の私の為にはならない……と判断したようです。これは『孫の為ならカネも出すけど口も出す』という母なりの救いの手だったのでしょうね。
そんな母がこんな電話をくれた理由は、もう1つありました。
「今日の新聞に『福島県内の先着10名様に、5000円でミシンをお売りします』って広告が入っていてね……」
5000円か……。大した機能はないとは思うけど、私レベルなら丁度いいかも。
長女が大好きなキャラクターの布で作った、絵本バックやお弁当袋を思い浮かべる私。それは心のどこかに眠っていた変なスイッチが起動した瞬間でした。なんか想像してしまったんですよ↓
↑こんな光景を……。
「……じゃ、じゃあお母さん、お言葉に甘えていいかな」
これが事件の始まりでした。
悪徳業者さんいらっしゃい!
母は早速、広告欄に載っていたミシン販売会社『S』へ電話をしてくれました。
「明日、家に持って来てくれるって。使い方の説明があるから、アンタもこっちへ来てね」
そして翌日、実家に着いた私は、早速例の新聞広告を見せて貰いました。販売会社の所在地は、ここから80キロほど離れた別の市……とのこと。
よーく考えてみれば、ガソリン代かけて遠くからやってくる業者が、5000円の商売だけで終わらせたら、儲けなんかありませんよね?
(ヤバい、大丈夫かな?)
時間通りにやってきたのは、小太りでやり手タイプの派手なオバサン(5~60歳?)と、貧相なオジサン(40歳代?)の2人でした。
「お電話ありがとうございました。『S』の者です」
そう言いながら、彼らはそれぞれの名刺を渡します。
(はっ!?)
これが『あ、やっぱりコイツら怪しい』と思った第一の瞬間でした。
オバサンは普通の名刺だったのに対し、オジサンの名刺は、何と手書き!!
正確に説明すると、会社名や全体的なデザインはオバサンのモノと一緒なのですが、名前の部分だけが真っ白になっていて、そこにサインペンで自分の名前を書き込んである名刺でした。
「…………」
こんなメッセージカード状態の名刺が置いてある会社って何なん!?
ミシンを受け取り、さっさとお引き取り願おうと思ったのは、言うまでもありません。
「こちらがご注文のミシンです」
彼らが持ってきたミシンは、安いだけあって、素人の私が見ても、大した機能はないことはすぐに分かりました。
こちらも5000円払い、契約は成立。本当はすぐに帰って欲しかったのですが、悲しいかな、使い方の説明を聞かないとやはり不安で……。
ちなみに、このミシンの説明は5分弱で終わってしまいました。オバサン、やる気が全くなかったですね。
そんな彼らの《本当の》営業はここからでした。
「せっかくの機会なので、お客様に見て欲しい商品があるんですよ。本日はこれをお持ちいたしました」
オバサンの目は、やる気に輝いていました。
ここまでくると逆に清々しい
頼みもしないのに彼らが持ってきたのは、最新式(彼ら曰く)のご立派なミシンでした。
「ほら、これはこんなに凄いんですよ」
張り切ってミシンを動かすオバサンの説明タイムは、5分を越え、10分、そして15分……。
ひととおりの宣伝を終えた後、オバサンは「こんなに素晴らしい機能がたくさんついているのに、お値段は、何と26万円なんですよ」と言ってくるではないですか!!
26万……。
(あぁ、これが『おとり商法』か)
そんな高いモノを買うつもりは一切ないし、例え買う必要性があったとしても、ここからは絶対に買わん!!
さて、何て言って、穏便に帰ってもらおうか……。
すると、そのオバサンは、更に宣伝文句を口にします。
「お嬢さん(私のこと)、ミシンってね、毎日使い続けないと、段々油が馴染まなくなってきて、最後は動かなくなるんですよ。実はさっきお売りした(5000円の)ミシンがそうなんです!」
「はっ!?」
使い続けないと動かなくなる?
その時、私の頭の中に浮かんだのは、泳ぎ続けないと死んでしまう、回遊魚のカジキマグロでした。
「……なんですけどね、こちら(26万円)のミシンは自動で油を馴染ませる機能がついておりまして、その心配はいらないんです」
「…………」
意気揚々と話すオバサンに反比例するかのようにテンショダダ下がりの私。そんな私の顔を見て、オバサンは最後の手段(多分)を行使しました。
「では、お嬢さん、先ほどお買い上げになったミシン、こちらを5000円で買い取りします! 本当は一度売ったものを同じ金額で引き取ることはしないのですが、今回は特別です!!」
(……ショボい)
そしてメチャクチャ恩着せがましい。
いい加減ウンザリしたので、そろそろお開きにしようと決めました。
「私、この(5000円)ミシンがいいんです! これが気に入りました!!」
このミシン《で》はなく、このミシン《が》……という言い方で解って欲しかったのですが、それでもオバサンはしつこく食い下がります。あ、オジサンはほぼ『置き物状態』でした。
そして、数分経過……。
私の気持ちを変えることは絶対に不可能で、これ以上の説得は時間のムダだとオバサンはやっと気づいてくれたようです。白旗を上げた彼女は、露骨に面白くなさそうな顔をしながら帰って行きました。
(……勝った)
翌日、私は某大手ミシンメーカー『J』へ電話を入れました。『S』がしつこく勧めていたミシンの製造元がこちらだったからです。
苦情と共に、例の26万円ミシンの製造番号を伝えたところ、これは『J』が『S』向けに用に作っている、プライベート商品だということが分かりました。なるほど、しつこく喰い下がるワケだ。
ついでにこの時、『一般の安いミシンは毎日使い続けないと、動かなくなってしまうのか?』と聞いてみました。
『J』コールセンター側の返答はというと……、
「いいえ、決してそのようなことはありません」
……でした。
だよね、そうだと思った( `Д´)/
やはりうまい話には裏がある
この記事を書くにあたって、悪徳業者『S』をネットで検索してみました。私が探した限りでは、県内にあったハズの『S』は見当たりません。
(潰れたんか?)
そして、『S 悪徳』と入力してみると、実家での事件から数年後に、本社が行政処分を受けていたことが分かりました別に驚きはしません。むしろ遅いくらいですよね。
サイトにあった事例(『S』意外の業者も含む)をみると、『2時間以上居座られた』、『威圧的だった』などなど……Σ( ̄皿 ̄;;
自分たちの時は、割りと早めに引き下がってくれたのだ……と改めて感じました。いや、それでも充分しつこかったですよ。
実はあの時、私の父も同席していました。我が家3人に対して、奴らは2人。その辺りで何らかの心理的な働きがあったのでしょうかねぇ? ちなみに父は『もう少し居座られたら、キレて追い出すつもりだった』と言っていました。
これが母のような年配の女性一人であれば、より強引な営業が行われた可能性があるのでは?……と改めて思ってしまいます。だって、奴らが帰った後で、母がボソッと言ったんですよ。
「あのミシンでお前が○○(長女)の為に色々作ってくれるなら、26万出してもいいと少しだけ思った」
……って((( ;゚Д゚)))オイオイ
※後になって分かったのですが、ミシンって数万円出せば、それなりの機能が備わっているんですね。
さて問題です。私は例のミシンを使いこなすことが出来たでしょうか?
ちなみに入園グッズは『絵本バック(大物)』『お着替え入れ巾着(大物)』『お弁当袋(小物)』『コップ入れ(小物)』の4点です。園によっては『クッションカバー』もありました(←ウチの園にはありません)
手作り半強制&サイズ完全指定の園がある中、娘たちの幼稚園は、市販品OK! サイズも『床につかない程度』というアバウトな感じでした。
しかしですね。これは先輩ママから聞いたんですけど、市販品使っていると、『あれれ? これ手作りじゃないんだ?』と謎のマウントをするクソガ……園児もいるらしいですね(;TДT)
まあ、私の手元には5000円で勝ち取ったミシンもあることですし、いっちょやったるか!……と思い、長女が当時大好きだった『くまのがっこう』の布をネットで購入しました。
そして……、
頑張りました!! 作りました。出来ました!! お弁当袋とコップ入れが!!
……って、残りの大物2点は?
はい、私には無理でした。どんなに集中しても、真っ直ぐに縫えず、縫い始めと縫い終わりの幅が、明らかに違いすぎて(小物は曲がる前に縫い終わるので、セーフでした)
大物は市販品購入決定!
と、いうワケで長女は半分手作り、半分市販品の入園グッズと共に、無事入園式を迎えました(笑)
そんな私が2年間の園生活で思ったことといえば……、
別に何でもよかったじゃん。だって園が『何でもいい』って言ってたんだし( ´-`)
……でした。
お母さんの手作りは素敵かもしれないが、市販品でもいい、実母やお姑さんに作って貰ったっていい、お金を出してプロに作って貰ったっていい。長女の周りには『手作りマウントキッズ』はいなかったようだが、例えいたとしても、そんな奴無視すればいい……。
そして5年後、次女が《オール市販品装備》で入園。大好きな『たまごっち』柄に娘は大喜びでした。
つまり、あの5000円のミシンが作り出したものは、長女のお弁当袋とコップ入れだけ……だったということで(((^_^;)