健康・医療心理学Ⅰ第1課題S評価レポート
査定面接とは
査定面接とは、来院したクライエントの心理的な問題や状態を把握し、適切な援助方針や治療計画を立てるために行われる、心理査定のうちの一つの方法である。
心理査定では、査定面接や観察、心理検査等の方法を用いて、クライエントの抱えている問題の内容や、その問題に絡んでいる身体的要因あるいは精神的要因、過去から現在までの経験や生活環境、本人の生き方や性格、適応能力、人間関係、ストレス反応といった様々な情報を収集する。それによって本人の内的世界や対外的態度、心理的な問題の程度や質、背景などについて分析し、査定結果をクライエントや保護者等にフィードバックする。
査定面接においては、クライエントとの初顔合わせであるということが考えられるため、特に重要なのは安心感と信頼関係を築くことである。まず、査定の目的を明確にし、守秘義務を守って行う面接であることを伝え、自己紹介や来談動機から始めていくが、クライエント自身が自己開示に消極的であったり、うまく話すことができないという場合もある。詳細を無理に聴き出そうとせず、本人が自発的に話す範囲内にとどめておき、そのような非言語的な態度や話し方、服装なども情報として観察しておくことも重要である。
病院臨床心理において、クライエントは、患者として身体的な疾患や障害を抱えていることが多い。そのため、査定面接では、身体的な状態や治療歴、服薬状況などについても確認する必要がある。査定面接で得た情報は、クライエント本人と共有することによって信頼関係を築き、次回の来談意欲を高めることが期待できる。また、医師や看護師など他の専門家と情報共有することで、チームアプローチによる援助方針や治療計画を作成することができる。査定面接は、チーム医療において共通認識のもと、適切で円滑な心理療法を提供するためにも重要な意味を持っている。
テストバッテリーとは何か
テストバッテリーとは、心理査定において、心理検査を複数組み合わせて行うことであり、それぞれの心理検査が持っている特徴ごとに、クライエントの心の状態を多面的かつ重層的に把握し、理解することを可能とするものである。
心理検査をする目的としては、面接や観察だけでは測りきれなかったクライエントの情報収集、面接により捉えられた特徴の再現度を測ること、面接を実施することが困難である状況でのスクリーニングなどが挙げられる。査定面接が縦のラインや横の広がりを捉えるのに対して、心理検査はパーソナリティの属性という限られた部分を集中的に可視化する。そのため、検査者は、検査の目的と性質およびクライエントの負担などを考慮した上で適切な心理検査を選択することが必要である。
テストバッテリーは、各検査の長所と短所を補完しあうことで、より客観的かつ信頼性の高い結果を得ることができる。例えば、質問紙法は回答が歪曲されやすいという欠点があるが、投映法は無意識の内容を探ることができるという長所がある。この二つを組み合わせることで、回答の歪曲や防衛機制などの影響を別の角度から見ることができる。また、同じ検査を治療前後に行うことで、クライエントの変化や改善点を定量的に評価することができるため、治療の効果や進行度を測定する際にも効果的である。
さらに有効性を高めるために、クライエントの動機付けと検査における対人関係が重要である。検査前に、目的や手順などを適切に説明し、同意を得る、必要最低限の検査の組み合わせを心がけることは、クライエントの意志を尊重し、安心して受験してもらうとともに負担をかけすぎず、より豊富な検査資料を得て、よりよく所見を見出す状況設定となる。
あくまでもテストバッテリーは、心的様相の部分的な側面である。結果を絶対視せず、総合的な判断を行うことが必要であり、無用なレッテル貼りや偏見を生むことがないように注意が必要である。
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