ショートショート 心を聞いてあげる
「疲れたな~。」
「仕事だったの。何かあったの?」
「そうなんです。自分だけが成績上がらなくて直属の上司からお叱りを受けてね。」
「え~それはつらいね。」
「うん、もうやめたくなる。僕だけがいつも成績上がらないから、上司も立場がないのだろうけど、僕は何をしても怒る、他の人がしたミスと僕がしたミスは同じミスでも反応が全く違うんだよね。」
そうか、この人は自分の今の状況がつらいんだと分かって欲しい、同時に自分の頑張りを認めて欲しいんだな。
「よく頑張ったんだね。ただ結果だけが他の人よりもついてこなかったんだね。」
そう言うと、ずっと状況や愚痴を話していた。
それ程私の頭には残っていないけど、この人がつらかったというは理解した。
ひとしきり吐き出すと涙がポロリと滲んでいる。
今はどうすれば今の状況を変えられるのかというのは置いて、まずこの人が聞ける心情になるまで待ってあげよう。
今彼はそれを受け取る気持ちになっていない。今は受け取ってあげることがやること。
さあもっと流しなさい。
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