野球選手のための柔軟性セルフチェック〜体幹編〜
みなさんこんにちは!
野球トレーナーのKazuki Yabeです!
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今回は、『野球選手に必要な柔軟性のセルフチェックの方法』の
体幹編!ということで
私の指導経験ならびに研究などで明らかになっている科学的根拠を基に提供したいと思います。またその改善方法(ストレッチ)も合わせて紹介します!
個々で紹介されているものはありますが、論文などで科学的根拠を持った方法をまとめているものは他にないかと思います!
プレーヤーや指導者の方はもちろん、野球選手を指導しているトレーナーや理学療法士、柔道整復師などの医療従事者の方必見の内容となっております。
■noteの概要
・総文字数:8067文字
・写真、動画:29枚(セルフチェック・ストレッチ方法など)
・引用論文:7本(セルフチェック方法や根拠など)
随時内容は追加していきます!
※はじめに・①野球選手にとって柔軟性が必要な理由 はセルフチェック〜肩編〜と内容が重複しております。こちらを読まれた方は②へお進みください。
はじめに
みなさん、こんな事言われた経験ありませんか?
「身体硬いな〜」
「もっと股関節柔らかくしないと怪我するぞ〜」
そして柔軟性を上げるために、ストレッチをすると思います。
しかし、どうでしょう。
そのチェックってやってますか?
どこまで柔らかくしたら良いか知っていますか?
みなさんはあくまでも野球選手です。
体操選手のようにものすごい柔軟性が必要なわけではないですよね?
そもそもなぜ柔軟性が必要なのでしょうか?
怪我しないため?パフォーマンスが上がるから?
なんとなく”いつものルーティン”でストレッチやってませんか?
小学生の時からストレッチはしなさいと指導されてきたから。
今回はそのような事を詳しく説明していこうと思います。
今までの私の専門家としての知識と経験を詰め込み、なるべくわかりやすく解説しました。
*本記事は体幹編です
セルフチェック〜肩編〜
セルフチェック〜体幹編〜(本記事)
セルフチェック〜股関節編〜(執筆中)
セルフチェック〜総集編〜(股関節編追加予定)
総集編では最後にセルフチェックまとめ表を載せようと思いますので、そちらも参考にしながら是非やってみてください!
また、総集編は股関節編が追加されると値上げする予定ですので、今のうちに購入する方がお得となっております!
この記事はこんな人にオススメ!
・野球に必要な柔軟性がわからない
・どうやってチェックすれば良いかわからない
・専門家にみてもらったことがない
・今少し痛みを抱えながらプレーしている
ひとつでも当てはまる人がいれば、読む価値アリです!
また指導者の方や野球をしているお子様がいる方で、
・どう指導すれば良いか分からない
・ストレッチは自分の経験だけで教えている
・そもそもあまりストレッチを指導したことがない
と悩んでいる方にも是非読んでいただきい内容です!
逆に
・今すでに投げられないほどの痛みがある
・安静にしてても痛みが続く
このような人はまず医療機関を受診してください。上記のような痛みであればまずは医学的に処置することが優先です。その後、問題がなければ今回のセルフチェックを参考にコンディショニングしてみてください。
ではいきます!
①野球選手にとって柔軟性が必要な理由
そもそもなぜ柔軟性が必要なのか。
一番はよく言われる事ですが...
『ケガをしないため』
だと私は思います。
病院に来る野球選手はこの柔軟性に欠けている事がほとんどです。
そしてセルフケアをしていない事が多いです。
柔軟性がないからといって必ずケガをするわけではありませんが
「ケガをする選手は柔軟性が不足していることがほとんど」
なのです。
柔軟性(≒可動域)が低下した状態でプレーすると、関節や靭帯、筋肉などに負担がかかってきます。そして一番多いのが、柔軟性が低下している部位とは違う部位への影響です。ある関節の可動域が低下していると、その動作を成し遂げようとして他の関節で代償することとなり、その関節の許容範囲を超えてしまうため、過負荷によるケガが起きてしまいます。
例えば、ピッチングにおけるフォロースルーでは
下肢:股関節の屈曲・内転・内旋
体幹:脊柱の屈曲・回旋、肩甲骨の外転・前傾
上肢:肩関節の内旋・内転
などが主に必要となってきます。このうち股関節の可動域が低下している場合や肩甲骨の外転が不足している場合が多く、その代償として肩を過剰に内旋したフォロースルーがよくみられます。その時点で、内旋を制御する肩後方筋群には過剰なストレスがかかり、筋疲労や損傷などの原因となります。また、肩内旋可動域さえも低下している場合は筋肉だけでは制御できず、関節にまで負担を過剰にかけることになり、ケガの原因となります。
これがケガをしないために柔軟性が必要な理由です。
また、
『パフォーマンス面においても柔軟性は非常に重要』
です。
なぜか?
パフォーマンスを上げるためにはそれなりの”出力”が必要になります。
車で例えると”アクセル”ですね。
そして、アクセルを思い切って踏むためには何が必要でしょうか?
それは”ブレーキ”です。
ブレーキが壊れていてはアクセルを踏もうとも思わないですよね。ブレーキの機能は身体でいうと筋肉の遠心性収縮にあたります(この辺りの話はまた別の記事にしたいと思います)
そして柔軟性はこのアクセルやブレーキの距離に相当すると考えます。
「滑走路」のようなイメージです。
要は柔軟性があるほど、
アクセルを長く踏めて、ブレーキを長く効かせられるわけです。
たとえ弱いアクセルでも滑走路が長ければスピードは出るし、ブレーキもその距離が長ければ車は止まれますよね?
例えば!
ピッチングにおいて球速にはストライドの長さが関与すると言われています。
このストライドの幅
すなわちどれだけの距離、アクセルを踏めるか?を決定するのは
「股関節の外転」という柔軟性です。
Sportsnaviより引用し改変
外転の柔軟性が小さいほど、アクセルの距離も短くなります。
逆に大きいほど、アクセルの距離が長くなります(それだけブレーキの機能も必要になります)
これが柔軟性がパフォーマンスに寄与する理由(のイメージ)です!
なぜ柔軟性が必要かお分かりいただけたでしょうか?
では、柔軟性があればある程良いのか?
もちろん小さいよりは大きい方が良いです。
でもそれだとどこまで行ってもゴールがないですよね。
野球の練習はストレッチだけではありません。ある程度合格ラインの柔軟性があれば、ストレッチしている時間を他の技術練習やトレーニングに充てられます。その方が効率的です。
そこで次は野球選手に必要な各部位の柔軟性を説明していきます。
合格ラインに達していない部位はしっかりとストレッチをしてください。逆に柔らかい所はチェック程度で良いと思います。
そして大事なのはそのチェックを自分でできるようになること!
自分で毎日チェックできるようになると、「気づいたら身体が硬くなっていた」ということが防げます。それがケガの予防になります。
では本題に入りましょう!
②柔軟性セルフチェック
〜体幹編〜
■どの柔軟性(可動域)が必要か?
体幹は「回旋」と「伸展」という可動域が重要になってきます。
まず、体幹というのは写真に示した部分のことを言います(頭を含めて体幹と表現することもあります)
「回旋」は主にトップ〜MERでの骨盤と胸郭の”捻転差”に必要となってきます。(肩のラインと股関節のラインの分離という意味で、海外では「hip to shoulder separation」と呼ばれます)
腕がトップポジションになった時(=身体が回り始める)、肩のラインと両骨盤を結ぶラインが捻られていることが良い投手の条件になります。
「捻転差が大きいほど球速が出る」との研究報告もあります。
(Mercier MA, et al. BMJ Open Sport Exerc Med. 2020)
また、これ『バッティング』においても同様で、トップの時のこの体幹の捻れがスイングスピードを生み出す重要なポイントとなります。
→バッティングにおける捻転差の話はこちらの記事を参照(プロ野球選手のピッチング・バッティングフォーム解説Vol.1)
この時に必要な体幹の回旋ですが、まず体幹を上部と下部に分けます。
トップポジションではこの体幹の上部と下部がそれぞれ反対方向に回旋される柔軟性が必要になってきます。
この時の柔軟性がないと「腹斜筋群」の肉離れを起こしてしまう可能性があります。
特にスローイング・スイング方向と同じ側の腹斜筋群(右投げ、右打ちなら左腹斜筋群)の肉離れが多いと報告されています。
(Stan A Conte et al. Am J Sports Med. 2012)
(Christopher L Camp et al. Orthop J Sports Med. 2017)
さらにその後のMER(Maximal shoulder external rotation:肩関節最大外旋位)では「伸展」可動域が重要になってきます。
この時にしっかりと体幹が伸展できていないと、肩が過剰に外旋することになり、腱板関節面断裂と後上方関節唇損傷が衝突する”インターナルインピンジ”を引き起こしてしまいます。(Walch G Boileau P, et al. J Shoulder Elbow Surg.1992 )
この時の痛みのチェックとして「HERT」と呼ばれる方法があります。そのセルフチェックとして「セルフHERT」については、野球選手のための柔軟性セルフチェック方法〜肩編〜に載せてありますので参考にしてみてください!
■体幹はどの柔軟性が必要か?
・回旋:ピッチング・バッティングにおける捻転差を作る
(腹斜筋群の肉離れを防ぐためにも必要)
・伸展:MERにおいてインターナルインピンジを防ぐために重要
■体幹柔軟性のセルフチェック
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