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100人の声 NO.3 

いずみん 精神保健福祉士 19年

1。仕事を選んだ理由
  高校卒業後、福祉系大学に進学した。
 260人の同級生のうち、精神保健福祉のコースに進んだのは、たったの9人だった。
 地元の施設にボランティアに行った。
 職員とメンバーがわからなかった。
 このことは、とても驚いたし、興味深く感じたことだった。
 福祉施設であるにも関わらず、支援者(職員)と利用者が自然にそこにいたことが今まで学んできた福祉観を大いにかえることになった。
福祉ってお世話してあげてる 弱者を元気な人が手伝うイメージが、
一緒に作業している、場面に出会うことで変わっていった。
「自転車の免許をもってんねんぞ!」と威嚇するメンバーがいた。「見せて」というと、見せてくれる。それをみて、職員が「自分で段ボールでつくってるやん!」と笑っていうと、本人は怒っていた。
職員がメンバーを馬鹿にしているのではなく、対等に会話をしているように見えた。
福祉なのに、対等。
これが、福祉系大学には進学したものの福祉はやりたくなかったはずなのに、一変した出来事となり、福祉の仕事を選ぶきっかけになった。

2.続けている理由
「おもしろいから続けている!」
精神科の患者さんて困っていることを言えていないことが多い。
なので、自分で困っていることを言えるようになってもらう関わりをしている。言い換えると、どれだけ私自身ができるように挑戦しつづけることだと思っている。
これまでは、「言ったら伝わる」と全力で向き合ってきたけど、
最近は、わたしの力というよりは、メンバーとの相互交流で成り立つものだと思い始めた。
メンバーのタイミング次第で響かないこともある。その時には時間をかけてメンバーをみていくようになってきた。

3.印象に残っている利用者さん
透析に週に3回通っていた要支援2 生活保護受給のおじいちゃん
トイレは壊れ、玄関のガラスが割れている家に住んでいた。
水はとまっていて、隣のガソリンスタンドに水を汲みに行って生活されていた。ごみは外で燃やしてしまうので、ヘルパーは、家のごみを集めてはごみ袋に入れて外に出すようにしていた。
それでいて、近所の定食屋に週に4日は飲みに行くような人だった。
安否確認のために、他のお宅の帰り道に訪問した。
「谷口さん」と外から声をかけると
「生きとる」と返ってきた。
「よかった」と叫び返しながら通り去ることをしていた。

大変そうな生活の中でたくましく生きている谷口さんとのやりとりが
しなやかな「関係」のように感じて、うれしかった。

今思うと、「ようやってたな」とも思うし、
「すんません」と謝りたくもなる。
のびのびと関わらせてもらって、本当によかった。

 

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