FFが、ひいてはスクエニが心配になった
はじめて「ハマった」と思えるものがファイナルファンタジーであった。
唐突にはじまり、ゴブリンと戦い、ようやく島へ渡るとタイトルが浮かぶ。
あの、胸躍るメロディーが流れてくる。
今にすれば単なるアバンの手法に、しかし当時の私は息をのんだ。
とんでもない物語の幕開けを目の当たりにした。
そう思った。
実際そうだった。
..と書くとダブルミーニングになるだろうか。
シリーズは15作を数え、オンラインになり、オープンワールドになり、今も物語は続いている。
そんな中で、1つ聞いたことのある噂がある。
シリーズの中でも人気のあるⅦリメイクの話が出たらスクウェアは危ない。
どう危ないのか具体的にわからないあたり所詮は噂なわけだが、なんとなく説得力があるのも噂たる所以だろうか。
合併して、今やスクウェア・エニックスである。
ドラクエとFFである。
もし「危ない」が仮に経営を指すのであれば、もう有り得ないであろう最強の組み合わせだ。
が、ファイナルファンタジーⅦリメイクは来年3月に発売される。
噂が正しければ「危ない」。
しかも時期的に、もうゲームそのものは出来ているはずだ。
話が出るどころか仕上がってしまっている。
所詮、噂は噂というわけだ。
数分前までは、そう思っていた。
ところで、吉田直樹氏という方がいる。
ゲームデザイナーであり、スクウェア・エニックスの取締役である。
この方が書いたコラムを拝読した。
スクエニは「危ない」かもしれない。
掲載は「&M」というWEBマガジンで、キャッチコピーは「オトナって、おもしろい」だそうだ。
コラムの感想は、もちろん個々人によって異なるだろう。
が、私は「これならファミ通のレビューを見せる方がいい」とさえ感じた。
雑誌のライターとなれば、物書きのプロである(と信じたい)。
読み手の興味をそそる技もあろう。
その点で比べようというつもりもない。
ファイナルファンタジーというゲーム史に残るタイトルを有する企業で取締役にあり、自らもデザイナーである人物が書いている。
この重みが、ない。
狙いは「だからオンラインゲームをしてみて欲しい」だとして、さらに言えば「自社の製品で」だとして、まったく琴線に触れてこようとしない。
いっそ「嫌なら断ればよかったのに」感すら残った。
少なくとも私は、これを読んでオンラインのFFには手を出すまいと思った。
少し話は逸れるが、ここ最近で話題になっている「DEATH STRANDING」というタイトルがある。そのゲームのデザイナーである小島秀夫氏の言葉も、ゲームそのものの話題性とあわせて目に入る。
何というのだろう。
ある本(といってもマンガだが)の言葉を借りれば「魂が合っている」。
本人と世に出したものの、あるいは世に出したものについて語られる言葉の、である。
オンラインは、既にプレイスタイルに過ぎない。
おもしろければ話題になる。話題になれば手を出そうという方も増える。
単にそれだけのことが、しかしコラムからは感じさせる熱量すらない。
まったく、ない。
スクエニは「危ない」のかもしれない。
少なくとも過去を引っ張り出してこなければならなくなった時点で、危機感はなければならないはずだ。
世に、焼き直しは多い。
小説やアニメもリメイクと続編ばかり。
新しいかと思えば、こぞって「異世界に飛ばされる」お決まりにも飽きた。
すべてが最後までファンタジーである必要はない。
いよいよ次がなくなれば危ない。
スクエニに限った事ではないのだが。