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世界の大きな流れの中でのドイツの立ち位置をわかりやすくまとめてみる

ドイツのショルツ首相が、ドイツ経済界の大物たちを引き連れて中国を訪問した。

改めて、現在の世界の潮流の中でのドイツの立ち位置を考察してみる。

日本人が親しみを感じるほどに、ドイツは親日ではない

日本とドイツは共通点が多い。どちらも職人気質の真面目な国民性で、技術大国である。自動車産業も盛んである。ともに第二次世界大戦の敗戦国であり、焼け野原から経済大国として復興した歴史も共有する。もう少し歴史を遡れば、帝国主義の19世紀から20世紀初頭、英仏米露らに遅れて台頭してきた大国でもある。

こういった経緯もあり、日本人はわりとドイツに親近感を持っているように思えるのだが、ドイツはそれほど日本に親しみを持っているのだろうか?

メルケル前首相がかなりの親中派であり、フォルクスワーゲンが中国市場で大儲けした経緯もあり、はっきりいってドイツの中では中国>>>日本である。長く共に仕事をしていたメルケル前首相が、安部氏の国葬に参加しなかったのも日本軽視の現れだろう。

メルケル氏からショルツ氏に政権が変わり、対中政策の変更を示唆していた時期もあるが、実際にはショルツ氏も安部氏国葬には来ず、財界人を引き連れての今回の中国詣が実態である。


底力はあるが苦悩も多い国

確かに、ドイツのポテンシャルは凄まじいと思う。過去二度の世界大戦で敗戦国となったにも関わらず、今やGDP世界4位の経済大国であり、EUの実質的な盟主である。

けれども、あくまで個人的な感想ではあるが、日本と同じく戦略眼が乏しく、「総合力ではどうしても米英には敵わない」国であると思う。職人気質ゆえに、視野が狭くなりがちで、技術面や戦術面での勝利を積み重ねながらも、最後は戦略的に失敗するというイメージだ。(そういうところも日本人が親近感を覚えるところなのかもしれないが・・・)

とくに現在のドイツは、ナチス政権時代の贖罪意識ゆえに「リベラルなドイツであること」に縛られすぎており、シリア難民やウクライナ難民にも寛容であるのは素晴らしいことであるとは思うけれど、一方で国民の不満は鬱積し、いわゆる極右政党の台頭も招いている。

リベラル路線に傾倒するあまり、国民世論が分断し、再び国が不安定化する要因とならないかどうか心配がある。

米中新冷戦の中でのドイツ

現在、世界で起こっていることの最上位階層にあるのが、「自由民主主義国家 VS 権威独裁主義国家」のチーム分けであり、その主戦場が米中新冷戦である。

米中分断は進み、次時代の世界新秩序を米英が考えているという段階だ。俗っぽく言えば、新世界秩序における「勝ち組」と「負け組」のふるい分けが始まっている状況といえる。

アメリカが勝つか、中国が勝つかはまだ分からないけれども、少なくとも「価値観」という点では日本もドイツも、中国よりはアメリカ(及びイギリス)に親和性があるはずである。

にも関わらず、ドイツはフラフラと中国に寄ろうとしている、というのが今回の出来事である。

日本はドイツとは違う道を行くべし

かつてドイツと同盟関係にあった日本であるが、いわゆる地政学的にはドイツと日本は「異なる種類」の国である。ドイツは大陸国家(ランドパワー)であり、日本は海洋国家(シーパワー)である。

あくまで地政学的な側面だけでみれば、ランドパワーのドイツは同じくランドパワーの中国と相性が良い面もある。一帯一路でユーラシア大陸が一体化すれば、ドイツが得る経済的メリットも大きいだろう。けれども、そのときのユーラシア大陸の覇権を握るのは、ドイツではなく中国となる可能性が高い。

一方で、日本はシーパワーであるため、ドイツや中国を向くよりは同じくシーパワー国家であるアメリカやイギリスとの相性が良い。従って、日本はドイツに対する幻想を捨て、ドイツとは異なる道を行くべきだと思う。

日米豪印のQUAD(クワッド)及び、イギリスのTPP加盟はその流れである。この仕組みは、戦略眼に乏しい日本にしては珍しい(というか史上初?)クリティカルヒットであると思うので、日本政府及び外務省はこの方針を堅持していって欲しいし、経済界もその流れに乗って欲しいと強く願っている。

とはいえ、技術面ではドイツは侮りがたし・・・

とはいえ、日本はまだまだドイツに学ぶことも多い。ドイツの凄まじい底力を実感したのは、「インダストリー4.0」という概念をドイツが提唱したことである。インダストリー4.0、いわゆる「第四次産業革命」をドイツが主導しようというものである。

これは凄いですよ、みなさん・・・インダストリー4.0、少し昔の話だけど・・・。少なくとも技術面では、ドイツは世界覇権を取ろうという気満々なのである。「俺たちは技術で食っていく!」というドイツ人のプライドを感じるものだ。さすがはかつてカイザー・ヴィルヘルム研究所(現マックスプランク研究所)を作った国である。

これについては日本もぜひ学ばなければならないので、また改めて取り上げたいと思う。

ということで、ドイツとは良きライバルとして向き合っていくことが必要だろうと思う。

(画像は写真ACから引用しています)

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