見出し画像

日本とカナダの友好深化がもたらすもの

G7貿易相会合において、カナダのエング国際貿易相が読売新聞に寄稿したという記事が興味深かったので、取り上げてみる。

日本はカナダの戦略において際だった存在である

日本とカナダは環太平洋経済連携協定(TPP)を通じて太平洋地域全体でルールに基づく貿易の拡大を主導している。また、カナダは昨年、この地域への関与を強化するための「インド太平洋戦略」を発表し、新規市場開拓のために5年間で約23億カナダドル(約2500億円)の投資を計画している。

 日本はカナダの戦略において際立った存在であり、今回の貿易ミッションは両国にとって重要な時機に行われる。

 世界経済は急速な変化の渦中にある。世界はよりクリーンでグリーンなエネルギー源への転換を進めている。成長を続けるデジタル産業は、多くの機能に人工知能を取り入れており、この動きは既存の幅広い産業分野においても同様である。量子計算の分野で飛躍的な進歩が起きれば、さらに別の転換の波が生じることになる。また、国際的な紛争が長年の同盟関係を揺さぶろうとしている。このような時代には、カナダと日本のように価値観を共有し、強い協力関係にある国が、外交と貿易の両面で連携することによって、ビジネスと経済をより強靱(きょうじん)なものにしていかなければならない。

 カナダと日本が互いを補うことによって経済発展と繁栄を遂げてきたように、両国は現在の経済の変化に対応して、共に新たな繁栄に向けて協力できる。

 この点で、カナダは日本に多くのものを提供できる。カナダには、電気自動車(EV)用バッテリーの製造に不可欠な多くの重要鉱物がある。両国は先月、バッテリーのサプライチェーンに関する協力の覚書に署名した。カナダ企業は日本の自動車メーカーに対し、未来のバッテリーと自動車を製造する上で必要な部品や技術を提供できる。カナダは他の産業分野でも、日本のエネルギーと食料の安全保障を確立する取組みに貢献することができる。

 今回、私は160社以上のカナダの主要企業の代表と共に訪日する。参加企業は日本経済に関わり、自社の価値を発揮する意欲に満ちている。

 これほど信頼できるパートナー関係を築いているカナダと日本は幸運である。今月の訪日で両国が経済関係と友好を深化させ、共に未来の課題に向き合っていくことに大きく期待したい。

読売新聞記事より

日本にとって、カナダはG7メンバーの仲間であり、TPPのメンバーでもあることから、重要な国であることは間違いない。

しかしながら、アメリカ(日米同盟)、イギリス(日英準同盟)、オーストラリア(QUAD)、インド(QUAD)に比べたら、やや重要度は下がる。トルドー首相が安倍晋三元首相の葬儀をドタキャンしたこともまずまず記憶に新しい。

けれども、このエング国際貿易相の寄稿は、カナダ経済界が日本をどう見ているかということが垣間見えて、大変興味深い。特に言及されているのは、「クリーンエネルギー」「デジタル産業」そして「量子計算」の分野である。

混迷する世界情勢において、日加の友好深化は歓迎すべきことである。

とくに、21世紀後半の鍵となる「次の超大国・インド」とカナダの関係悪化が続く昨今において、両国との友好関係を持つ日本が果たす役割は大きいかも知れない。

(画像は写真ACから引用しています)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?