イギリスのTPP加入で日本にいいことあり!TPPの真の役割とは
祝!イギリスのTPP加入
ついに、イギリスがTPPに加盟をした。TPPが始まって以来、はじめての加盟国である。
めでたい!!
EU離脱で新たな経済枠組みを求めるイギリスにとって、これはインド太平洋地域への回帰を示す象徴的な出来事である。
だから、TPP加盟でEU離脱の経済的損失を全然埋めれないとかいう問題ではないんですよ、BBCさん!
イギリスのEUからTPPへの移行は、大陸(ランドパワー)から距離をとって、海洋国家(シーパワー)で連携していこうという大きな方向性の一環である。
日本はかつて鎖国していたし、世界覇権国だった時代のイギリスも、栄光ある孤立という政策を取っていた。海洋国家は大陸国家にあまり深く関与せず、海上貿易を主体としながら、海洋国家同士で連携した方が繁栄しやすいと思う。長い目で見れば、この選択はイギリスに大きな恩恵をもたらすだろう。
まさに、栄光ある孤立を捨てて日英同盟を結んだ時代のように、イギリスはEUを離脱してインド太平洋地域に回帰するのである。
日本にとってのTPPの意義
TPPの本質は、単なる関税同盟ではなく、インド太平洋地域に新たな経済ルールを確立しようというところにある。
つまり、ルールメイクをする側に日本が回るということである。これは、日本がこれまでめちゃくちゃ不得意としてきたことである。
日本はいつも欧米が作ったルールに振り回されてきた。TPPで、新たなルールは日本が作るのだ。日本にとってこの枠組みは、QUADに並ぶほど重要だと思う。
しかしながら、イギリス加入前のTPPは経済規模があまり大きくなかった。GDP世界3位の日本と、GDP世界6位のイギリスが手を組むことで、TPPは確実に前にすすむ。TPPの世界GDPに占める割合は約15%となった。日本にとって、イギリスの加入は大きな助けとなる。
日本にとってのイギリスの重要性
人間関係にもある程度優先順位があるのと同じように、外交関係にも優先順位がある。
イギリスは、いくつかの理由から、日本にとってかなり重要度の高い国である。
まず第一に、ともにユーラシア大陸の端っこに位置する島国(=海洋国家)であるという地政学的共通点。
第二に、かつて日英同盟が存在し、メイ首相時代にイギリスは日英同盟の復活に言及し、現時点で準同盟関係にあるということ。次世代戦闘機の共同開発も決まっている。
第三に、かつての世界覇権国であり、衰えたとはいえ今なお世界に大きな影響力を持っている国であるということ。
そして第四に、ともに自由と民主主義、法の支配を重んじる先進国であるということ。
こういった理由から、イギリスのTPP加盟は関係をより重層的にするという点においてとても意味がある。
TPPは日本の有効な武器なので、政治問題化させず大事にして欲しい
このように、TPPは日本にとって極めて珍しいイニシアティブを取れる経済枠組みであるので、そのことをよく理解し、有効なカードとして使ってほしい。
特に、ある国のTPPの加入を許可するか、許可しないかというのは、感情論や政治問題に振り回されるべき問題でなく、単に、法に基づいた高度な貿易ルールを守れるのかどうかということだけで判断するべきである。
TPPの次の焦点は、中国と台湾の加盟をどうするかという問題だと言われているが、どちらかの加盟を支持するor支持しないというような多数決的考えにもっていくのは良くない。単に、高度な貿易ルールを守れるのかどうかということだけを厳格に、淡々と審査するべき問題である。
「アイツはTPP加入を容認してるのに、なんでお前は容認しないんだ!?」的に、TPPを政治問題化してはいけない。粛々と、ルールに基づいて判断するべきである。
アメリカが抜けて力を失ったが、かつての世界覇権国イギリスの加盟でTPPは再び力を増すだろう。せっかく日本が主導して作った国際的枠組みなので、日本の未来のためにも大事に使っていってほしい。
TPPに関するエコノミスト編集長インタビュー
エコノミスト編集長のインタビューが良い内容だったので、追記しておく(2023年7月18日)
めちゃいい内容。私もまったく同意見である。
(画像はイラストACから引用しています)
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