ロシアから見た安倍外交に垣間見える外交の真髄
当ブログでは、細々と世界のニュースを分析しながら日本の世界戦略を分析してきた。
このたび、「ロシアからはこう見えていた」という大変興味深い記事があったので、ここに引用しておく。
Win-Winの関係である、と少なくとも相手に本気で思わせる
私情を挟まぬ冷徹なプーチン大統領が安倍元首相の遺族に弔電を送ったことは印象的だった。
こういうときでなければ、なかなか本音が出ないだろう。ロシアは一体何を考えているのか、そして「何故ロシア政界は安倍首相に敬意を払うのか?」この疑問の一端が溶ける下記記事の内容は大変興味深い。
私を含む一般的な日本人が読むと、頭の中が「?」で満たされる謎の主張である。
「日本はロシアの弱点につけ込もうとした」??
少なくとも、ロシア側からはそう見えていたようだ。
・・・どうやら、「北方領土を返せ!」というのが、「ロシアの弱みにつけ込もうとしていた」というふうに映るようだ・・・
一般的な日本人には理解しがたい論理だが、ロシア人の頭の中ではそういった思考パターンになっているということは、理解しておくべきかも知れない。
曰く、彼を知り己を知れば百戦危うからず。
記事の続きを見てみる。
安倍氏は「ロシアが強くなることに賭けた」 ?
「強いロシアを合意し、協力関係を構築する」 ??
一般的な日本人の頭の端にも過ぎらないこのロシア人の発想・・・興味深くないだろうか。
恐らく、安倍さんの「従来のアプローチにこだわらない北方領土周辺地域への経済支援」のことを言っているのだろう。もちろん、安倍さんに「ロシアを強くしてやろう」という意図があったとは思えない。しかし、結果的にロシアにそのように思わせるに至った。ここに安倍外交の真髄があるように思う。
Win-Win(ウィンウィン)。
言うのは容易いが、実現するのは難しい。経済支援が「北方領土返還」に繋がることを期待していたという意味では、結局日本にとってWin-Winになっていないのは事実である(結果的に金だけ取られた)。しかし、少なくともそれを目指しているということが相手に理解されたからこそ、ロシア政府の高い評価に繋がっているのだろう。
「これが、安倍が進めようとしていた重要な政策だ!」
とまで断言しているのだが、みなさんはどのような印象を持たれるだろうか。
注意が必要なのは、安倍さんの対露政策が、まだロシアがG8に数えられている時代に始まったということである。当時は、現在の世界情勢とはかなり異なる時代だった。
恐らく、中国という巨人に対峙するために、ロシアとの協力関係を模索していたことは間違いないと思うのだが、どうだろうか。
ともかく、今や世界の嵐の中心たるロシア政府の中枢にこう言わしめる安倍外交は、例え上手くいかなかった部分はあったとしても、日本の外交史に先例のないレベルのものだったのだろうと思う。
(画像は写真ACから引用しています)
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