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2024年衆議院選挙所感:外交・経済・内政の未来予想図

 2024年の衆議院選挙が終了し、2012年の第二次安倍政権誕生以降続いた、自民党の単独過半数の時代が終了した。自民党+公明党あわせても過半数に届かぬ、惨敗であった。

yahooニュースから引用:https://news.yahoo.co.jp/senkyo/

 世界のニュースを分析し、国際情勢を研究している立場から、この選挙結果を、外交、経済、そして内政の観点において分析してみたいと思う。

外交

 自民党政権が不安定化することは、外交にとっては間違いなくマイナスとなる。すでに、アメリカのマスコミは懸念を報道している。

米メディアは選挙結果を速報。ニューヨーク・タイムズ紙は「日本の政治は近年で最も不安定な時期に入った」とし、「(トップが短期間で交代する)回転ドア式統治に戻るかもしれない」と伝えた。

上記記事より引用

 私が日本外交において最も重要だと考えている「自由で開かれたインド太平洋」戦略にとっても、QUADの推進にとっても、大きなマイナスとなるだろう。

経済

 同じく、自民党政権の不安定化は、日本の経済にも先行き不透明感をもたらすと思われるが、興味深いことに選挙翌日の株価は691円も上げている。

 これは、皮肉にも石破政権の経済政策に対する期待値の低さの裏返しでもあっただろう。経済政策で期待できぬ石破政権の、早期退陣への期待ゆえの株高だと思う。

 そして、石破政権の増税・緊縮路線へのNOを国民がつきつけた、という点でも悪くはないが、一方で同じく増税・緊縮路線の野田立憲民主党が勢力を伸ばしているので油断はできない。

 総じて、日本経済の先行きは、しばらく明るくないだろう

内政

 何がしたいのかイマイチ分からない石破政権が、何も出来ぬままに終了する可能性が高まった。

 政策を通すには、野党の協力が必要となったわけだが、これは希望でもあり絶望でもある。自民党がどの党と組むかによって、日本の未来は大きく左右されることとなる。

 それぞれの党の選挙結果の所感とともに、述べていきたいと思う。

立憲民主党

 もっとも議席を伸ばしたのが、立憲民主党。立憲民主党が良かったというよりは、自民党の自滅による議席増だが、それでも野田氏が党首であったことが幸いしたように思う。枝野氏や連蓮氏のような全否定路線でも、泉氏のようなソフト路線でもなく、重厚な政治論客である野田氏の安心感が、良い方に出たのだろう。野田立憲民主党のイメージは、穏健左派である

 ただ、長い目で見れば、すでに「悪夢の民主党政権」時代を経験している国民にとって、野田氏にすごいワクワク感があるわけでもなく(すでに野田政権を経験している)、安定感はありつつもこれ以上の上昇は望めないのではないかと思う。

 さらに、野田氏は増税・緊縮路線であることにも留意が必要である。仮に、石破自民党が野田立憲民主党と大連立を組むことになれば、国民からさらに搾取する悪魔の大連立となることは間違いない。

国民民主党

 比例代表で候補が足りなくなり、議席が他党に渡ってしまうほどの大躍進を遂げたのが、国民民主党である。現実的な中道政党だと思っている。

 「対決より解決」と言い、国民目線での政策を愚直に訴えつづけた努力が、日の目をみたというところである。

 外交・安全保障面でも、経済政策でも、もっともバランスの取れた政党だと思う国民民主が大躍進したことは、国民が増税に対してNOを突きつけたということでもあり、とても良かったのではないかと思う。

 キャスティングボードを握り、影響力を増すだろう。自民党が、立憲民主党に協力を求めるのか、国民民主党に協力を求めるのかによって、内政面では大きな違いが出ることが予想されるため、注目である。

日本維新の会

 公示前の43議席から38議席への減。野党が軒並み議席数を増やすなかで、共産党とともに議席を減らしたわけだが、兵庫県知事問題などで大逆風があったことを思えば、かなり健闘したと言えるのではないだろうか。

 外交安全保障面ではタカ派的な側面と保守的な側面がある一方で、内政面ではかなり新自由主義に振り切った政党である(小泉政権と菅政権を足して二で割った感じ)。自民党の小泉進次郎氏が掲げていたライドシェア解禁や、解雇規制の緩和を訴えており、小泉氏が敗北したため石破自民との区別化のために新自由主義色に振り切った選挙活動をしていたと思うが、それは悪手だったと思う。

「ライドシェア」「解雇規制緩和」・・・歓迎する業界もあるのだろうが、大多数の国民には受けません。維新にはいいところもあるのだが、総じて成長戦略に弱いね。経済政策でも、国民民主党に負けている。

 とはいえ、期待できるところもあるので、頑張って欲しい政党である。思うに、無理に全国政党になろうと目指さない方が良いのではなかろうか。地域政党でローカル色を出した方が、ずっと尖っていられるし、その方が魅力的だと思う。

 日本維新の会と国民民主党で地域を棲み分けて、ゆる~く連携するぐらいがお互いの身の丈にあっているように思うが、なぜか仲の宜しくない両党である。

れいわ新撰組・共産党・社民党

 
 左派政党。共産が2議席減らし、れいわが6議席増やした。もともと共産・社民に行っていた左派層が、れいわに流れつつあるのだろう。消費税ゼロが現実的かどうかはさておき、消費減税に言及している点については評価できる。

日本保守党・参政党

 右派政党。参政が2議席増やし、新規参入の日本保守党が3議席獲得、国政政党の要件も満たした。これは、快挙であるといえる。

 反安倍ムーブを示した石破氏をかつぎ、高市氏を敗退させた自民党のコア支持層である「保守派」が、その不満をどこにぶつけるのか、という観点から日本保守党の躍進には注目していたが、大健闘であったといえるだろう。

 ただ、かつて「たちあがれ日本」という超保守政党があったが、長続きしなかった。そのようにならぬことを、願っている。

自民党

 さて、自民党である。石破さんの立場はかなり苦しくなったが、外交安全保障関連の知識が古く、なおかつ増税・緊縮財政路線である石破氏は評価できぬため、NOの意志を国民が示せたのは良かったと思う。

 しかし、ここから自民党が復活するには、大きな勝負に出る必要があるのではないか。

 例えば、総理大臣を高市氏にすげ替え、「消費減税」を掲げて解散総選挙に打って出るような大勝負をしないかぎり、党勢はじり貧となっていくだろう。
 
 今こそ謙虚に国民目線に立ち戻り、守りに入らず勝負に討って出て欲しい。


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