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東京五輪開催賛成・反対の議論にひそむ複雑な構造

東京五輪の開催予定日が近づいてきているが、世の中では「開催するべきでない」「いや、やはり開催するべき」という議論がさかんになっている。現状では、どちらかといえば、「開催するべきでない」という声の方が大きいだろうか。

しかし、この議論にはどうも釈然としないものを感じるので、少し整理して分析してみた。

五輪は中止するべきだという人々

①そもそもの五輪に対する懐疑論派

アマチュアの大会といいつつ、最近は商業化がすすみ、メーカーやスポンサーの金儲けの場と化している五輪。最近は、パラリンピックにもその徴候がみられる。今回明るみになった「五輪貴族」と呼ばれるIOC関係者たちの特権意識を見れば、なおさら現代五輪には懐疑的にならざるを得ない。「今の時期に」あえて、金儲けの側面が強いイベントをする必要があるのか?という金の匂いに反発したくなる。ちなみに、拙記事著者はこの立場である。

②コロナで一般庶民は自粛を強要させられているのにお前らはやるんかい!派

緊急事態宣言や時短要請などで、一般庶民は不自由なコロナ禍生活を強いられている。家族を亡くした人もいるだろうし、生活が厳しい人もいるだろう。そんな中でお祭り騒ぎをするのには反対だ!という立場の人々。反対派の多数はこの考えではないだろうか。

③菅政権を叩きたい派

菅政権が推進しているように見える現状、政府憎しの人々にとっては格好の政権叩きの材料である。立憲民主党などが典型例。

五輪は行うべきであるという人々

①五輪利権関係者

IOC、電通、スポンサー関係など。一部の政治家にも、五輪利権はあるだろう。

②世界各国と比べて日本の感染状況はそれほど悪くないじゃん!派

海外の感染爆発と比べると、日本の感染状況はそれほど悪くない。わざわざ中止にする必要性があるの?という人たち。数字の上ではその通りだが、あまり強く言いすぎると某内閣官房参与のようになる。

③中国

2022年北京冬季五輪を控える中国は、東京五輪熱烈支持派である。


もちろん、これ以外の意見も多数あるだろうが、主なものはだいたいこんなところではないだろうか。反対派③はサヨ系の人に多く、賛成派②はウヨ系の人が多いような印象がある。しかしながら、中国が賛成派に回っているのが興味深い構造である。

続いて、今の時期に五輪を行うことについて、「五輪を行ったときのデメリット」と、「五輪を行わなかったときのデメリット」を考えてみたいと思う。

今の時期に五輪を行うデメリット

・医療関係者の一部が駆り出され、国内のコロナ診療体制に影響が出る可能性がある。

・五輪クラスターが起きて、日本の評判が地に落ちる。

・世界中から変異ウイルスが持ち込まれ、最強のカクテル変異ウイルスが生み出される。

今の時期に五輪を行わないデメリット

・お金(違約金や経済損失など)

・「五輪を開催できなかった日本」として不名誉な歴史が残る

・一方で、中国は冬季五輪を行うだろうから、「日本は五輪ができなかったが、中国は成し遂げた!」とプロパガンダに使用される。


こんなところだろうか。

本来、政府がこういうことを分析して、適切な広報活動を行うべきでだと思うが、やらないので拙ブログでやろう(・・・誰も読んでないがw)

政府が行うべきは、「五輪を行ったときのデメリット」の心配を払拭する努力を死に物狂いで行い、「五輪を中止するべきだという人々」の②を味方につけるべく、説得力のある説明を繰り返しすることである。

「コロナに打ち勝った証として、東京五輪をやるんだ」

というのは全く説得力がない。打ち勝ってないじゃん!で終わるからだ。

「東京五輪という場で、このようにすれば安全にイベントが開催できるという手本を、我が日本が世界に示します。そして、この大会の経験をもとに、自粛を緩和していく際の新たな感染予防対策を作成し、皆さまのお役にも立てるようにします。自粛でご苦労をかけている皆さま、いつもありがとうございます。東京五輪の成功が、日本の経済活動を力強く再開するための、その一歩となります。なので是非、東京五輪にご協力をお願いいたします」

というような、希望に満ちた前向きなメッセージをこそ、発信すべきではないだろうか。

「なので、東京五輪のあいだは、ステイ・ホームでテレビで観戦してください。五輪期間中に、観戦することで感染を抑え込みましょう」

とでも言えばさらに洒落が効いているw テレビ業界も味方につけるというウルトラC ww

こんな素人でも思いつくようなコピーを考えるライターが政府広報にはいないのだろうか???

ガトリン選手は以下のように言っている。

「この大会は、どうすればオリンピックを開催できるのかや、選手たちの健康を守るバブルを維持できるのか、外国人選手たちがやって来る状況で日本の人々が健康であり続けられるかを、まさに示すものとなったと思う」

そう、日本に成し遂げなければ、どこが成し遂げるのか。そういう前向きな熱量が高まれば、五輪を支持する人も増えるだろう。

残念ながら、政府・五輪関係者の熱量は空回りするばかりが現状だ。

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