菅政権:貧乏くじを引き続けた最強のナンバー2
2021年9月3日、菅総理が総裁選に出馬せず、任期満了をもって退任するという報道がなされた。
意外だったのが下記の報道。
おおお・・・ホリエモンが人を褒めた・・・!
おおお・・・小泉進次郎が泣いた・・・!
素人の政治経済ウォッチャーですが、安倍さんの退任のときにも行った当ブログ的な見解をまとめておきたいと思う。
評価されない「仕事人内閣」の悲運
菅政権のキャッチフレーズは、「国民のために働く」であったし、内閣も「仕事人内閣」と自称していた。その通りに、内閣のメンバーから大きな不祥事が出ることもなく、ホリエモンが言うように公約もかなり実現させた。
デジタル庁の創設などレガシーと言って良いレベルのものだし、携帯料金引き下げ、高齢者医療費引き上げ、不妊治療補助金、原発処理水排出、コロナ治療薬(カクテル療法剤)の新規承認など、賛否ある政策も含めて前へ推し進めてきたと思う。
コロナワクチンだって、「7月末までに希望する高齢者には接種を終える」という旗をふり、河野さんを大臣に据えて、ほぼ目標通りの摂取率を達成できた。これは菅さんだからこそできたことだと思う。
官僚の言いなりの旧態依然とした”調整型”総理大臣だったら、厚労省の言いなりだっただろう。厚労省の言うとおりにしていて、果たして今以上のスピードでワクチン接種が進んでいただろうか?
それどころか、国産ワクチンもない中、ファイザー製ワクチンをかなりの数確保できたことも、(国民は当然のことのように思っているが)相当難しいことだったと思う。民主党政権だったら、確保できていたワクチンが中国製ワクチンしかなかったという可能性も高い。
そう、菅政権は仕事はしていた。けれども、それが全く国民に伝わらなかった。
「国民へのメッセージが届かない」というのは本質的な問題
よくマスコミや野党が、「菅さんの言葉は国民に伝わらない」という批判をしていたが、これは的を得ている。
ただし、菅さんの場合は「仕事をしているのにそれが全く国民に伝わらない」のだ。致命的な発信力不足である。というか、個人的には「熱量」が圧倒的に足りないと感じていた。
言うまでもなく、菅さんは安倍政権で史上最長の官房長官として君臨した。史上最強のナンバー2なのである。実務能力が低いわけはない。しかし、官房長官時代は国民に語りかける必要はなく、メディアの質問に淡々と答え、官僚に睨みをきかせていれば良かった。官房長官に、国民に見せる「熱量」はむしろ不要なのである。
菅さんは優秀なナンバー2であったが、優秀なナンバー2が必ずしも優秀なリーダーとなり得ないことを、はからずも実証してしまった形だと思う。
とはいえ、貧乏くじを引かされながら文句も言わず良く頑張った!
とはいえ、平時であればもっと有能な総理として評価されていた可能性は高いように思う。特に、菅さんはパッとしないおじいちゃんに見えるが、旧態依然とした「調整型の政治家」ではない。めちゃくちゃ「改革指向のおじいちゃん」なのだ。(改革指向のおじいちゃんの「熱量」を国民に見せてほしかった!)
特に、日本の官僚機構の縦割りを問題視し、「縦割り行政の打破」を掲げていたのは評価するべきだ。これを今まで言った総理大臣は存在しない。カーボンニュートラル社会の実現を、新たな成長戦略の柱に据えたというのも筋が良かったと思う。
願わくば、平時に存分に腕を振るってもらいたかった。
だが残念ながら今は平時ではなく、コロナ禍という準戦時だ。コロナ流行期に総理大臣をやって上手くいく政治家はほぼ皆無だろう。誰がやっても上手くいかないであろう時期に、言うなれば安倍さんの敗戦処理を文句も言わず頑張ったとは思うし、むしろ菅さんだからこそ善戦した部分もあると思う(GOTOと緊急事態宣言を行ったりきたりスタンスが定まらなかったのは良くないが・・・)
もう一つ、オリンピックの実施でも批判を浴びた菅さんだが、これも盛大な貧乏くじの一つである。そもそも論として、菅さんが誘致したものではないからね。。。
国際公約に近いオリンピックを、国民の批判を受けてボロボロになりながらも良く実行したと思う。それに、小池都知事が国民の批判をかわすようにたち振る舞っているなか、菅さんは矢面に立って全ての不満を受けていた。これも文句も言わず良く頑張ったと思う。
オリンピックは個人的には反対であったが、ある意味、菅さんが首相生命と引き換えに、国際公約を果たしたのだ。
ということで、不満もあったが評価するべきところは評価しているし、何の影響力もないこのような記事を書いている当ブログ主よりは何万倍も日本国民のために働いていたと思うので、ここに敬意と感謝を評したい。
少しお休みになって、できればまた総務大臣等で辣腕を振るう機会が来ることが願う。おそらく、それくらいのポジションの方が力を発揮できる方だと思う。
菅政権の主な業績
1.デジタル庁の創設
2.携帯電話料金引き下げ
3.不妊治療補助金開始
4.高齢者医療費引き上げ
5.コロナワクチンの迅速な普及(縦割り行政打破による)/大規模接種センター設置/抗体カクテル療法早期承認
6.原発処理水排出の政治的判断
7. 重要土地規制法の成立
8. 東京オリンピック・パラリンピック開催
9.脱炭素技術支援へ2兆円基金創設
10.自由で開かれたインド太平洋の継続的な推進
賛否のある内容もあると思うが、問題先送りではなく、それを進めていくのが政治力だと思う。
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