運転手不足の解決策は、外国人雇用ではなく、氷河期世代とのマッチングだと思う件
コロナ後に急速に経済活動が改善する2023年、運送業や建設業など、各方面で人材不足が叫ばれている。
働き方改革と関連したいわゆる2024年問題もひかえ、下記のように長年親しまれた路線バスも廃業に追い込まれるといった事態が多発している。
路線バス業界だけで考えても、今後2万1000人の運転手不足が見込まれているそうである。その他運送業や、建設業も含めれば、恐らく十万人以上の人手不足となるのではないだろうか。
これは逆に言えば、潜在的な雇用創出機会が眠っているということでもある。
AI化でいずれ先細りの業界・・・
バスの運転手や、タクシー運転手、あるいは運送業に関わるトラック運転手などは、このように短期的にすさまじい人手不足が懸念されるわけだが、だからといって10代、20代の若い人たちにこの業界にどんどん入って活躍しろ、とも言い難い事情がある。
AI技術の発展で、自動運転技術が確立されたのちには、これらの業種は衰退する可能性があるからだ。いわゆる、AIに仕事を取られる業種の最たるものの一つといえる。
短期的にはブルーオーシャンだが、先行きは必ずしも明るいとはいえないのである。
日本政府や経団連は、こういう業種にすぐ「外国人労働者を増やそう!」となりがちなのであるが、ちょっとまって欲しい。この分野にうってつけの人々がいる・・・就職氷河期世代だ。
外国人ではなく就職氷河期世代の救済にもっとスポットライトを
ロストジェネレーション・・・就職氷河期世代ももはや若くなくなり、50歳前後にさしかかろうとしている。80-50問題といった言葉もあるくらいだ。
ひところよりは、就職氷河期世代の正社員率も改善してきているという分析もあるようだが、それでも他の世代より恵まれていない人は多いだろう。
50歳前後にさしかかった就職氷河期世代・・・こここそ、運送業の人手不足を埋めるのにスポットライトを当てるべきだと思うが、いかがだろうか?もちろん、十分な待遇のうえで。
実働15年~20年程度、業界がAI化されるまでにの担い手として、ちょうど良い年齢だと思うし、デジタル・ネイティブではないにせよ、ある程度デジタル化された時代を生きてきた世代であることから、単に運転手として一生を過ごすだけでなく、自ら業界をAI化させるような事業を起こすきっかけにもなるかも知れない。
上記路線バスの廃業についても、こういった求人は行っていないのだろうか?と疑問に感じる。
廃業せざるを得ない路線バスの求人情報が、安定した職を求める人のところまで届いていないのではなかろうか。つまり、人手不足業界と就職氷河期世代のマッチングが機能していないのではないかと感じる。
「就職氷河期世代の皆さん!地域のバス路線の維持のため、運転手になりませんか!?正社員待遇、退職まで面倒みます!大型免許取得のサポートや、研修も万全!!」
こんな感じで、正社員待遇であれば、興味を持つ人も一定数いると思う。
運送業の人手不足には国策で対応してほしい
さらに、運送業の人手不足についても同様である。これについては国策としてもいいくらいだ。
就職氷河期世代を中心に、就職支援として大型免許や特殊免許を一定額補助のもと取得させる。そしてこれらの世代を雇った企業に、減税措置をする。さらに、運送関連のAI化を担う高度人材も、国主導で育成する。
これくらいやってほしい。就職氷河期世代救済&運送業AI化の一石二鳥である。
なんでもかんでもすぐに「外国人労働者」に頼ろうとするまえに、待遇を良くしたうえで日本人失業者たちを救済する方向へ頭をつかって欲しいと思う今日この頃である。