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岸田首相の最後のクアッド会合:辞める者が参加して意味あるの?単なる思い出作り??【戦略的意義】

日米豪印のいわゆるクアッド首脳会合に、岸田首相は参加した。これは、首相としては最後の参加となるだろう。

さらに、岸田ーバイデンの日米首脳会談も開催された。退任する者どうしの首脳会談である。

辞めるものがなにを出しゃばっているんだ!!という国民の声が聞こえてきそうである。しかし、これらは全て、意味のないことなのだろうか?岸田総理の単なる卒業旅行なのだろうか?税金の無駄使いなのだろうか??

現在行われている、次期首相を決める自民党総裁選の流れとあわせて、分かりやすく解説してみる。

日米豪印のクアッドとは?

時代を遡れば、2000年代前半に、麻生氏が日本の外交戦略として「自由と繁栄の弧」を提唱した。日本~東南アジア~インド~中東~欧州のユーラシア大陸外縁部の交易の安全性を担保していきましょう、という外交戦略である。

さらに2010年代に入り、第二次安倍政権において、「自由で開かれたインド太平洋」戦略が提唱された。インド洋と太平洋を不可分なものとしてとらえ、この海域の交易の安全性を担保していきましょうというものだ。「自由と繁栄の弧」のアップデート版外交戦略である。

「自由で開かれたインド太平洋」戦略の要として、日米豪印のクアッドがある。日本・アメリカ・オーストラリア・インドの連携を深めていく仕掛けである。

クアッドの開催は、「自由で開かれたインド太平洋」戦略が継続中ですよ、ということを示すシグナルである

安倍政権時代に外務大臣を長く務めた岸田氏は、その重要性を良く理解していた。岸田外交は、基本的には安倍外交の継承であったのである。

ということで、岸田氏のクアッド会合参加は、「単なる実績アピール」や「思い出作りの卒業旅行」ではなく、クアッドの枠組みを今後も続けていく、という意思表示に他ならない。

次の総裁で、外交方針が大きく変われば、日本はヤバイ!!

岸田氏が、クアッドの会合に参加しているまさにその期間、日本では次の自民党総裁(=内閣総理大臣)を決める自民党総裁選が行われている。

有力候補としてマスコミが名をあげているのは、記事作成時点で、①石破氏、②小泉氏、③高市氏の三名である。

この中で、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の継承という意味では、②小泉進次郎氏が最も安定的だろう。彼自身にいかなる考えがあるのかは依然としてはっきりしないが、「前政権でやってきたことをしっかり引き継いでいく」という主旨の発言を繰り返しているし、お目付け役の菅氏は「自由で開かれたインド太平洋」戦略の重要性を誰よりも理解している。

③高市早苗氏も、「自由で開かれたインド太平洋」戦略の重要性を理解していると思われる。仲間の少なさが懸念されているが、各種政策にも明るいし、今までの日本にはなかったはっきりモノ言う総理大臣として、「日本のサッチャー」として大成する可能性には期待したいと思っている。一方で、ズバズバものを言いすぎることで、日本が突出しすぎてしまう、最悪孤立状態に陥ってしまうようなことを、少し心配している。

①石破茂氏は、基本的には安倍政権でやってきたことをひっくり返していきたいという方なので、「自由で開かれたインド太平洋」戦略の継続性という観点からはもっともヤバイ。アジア版NATOを作りたいと未だにおっしゃっているが、「自由で開かれたインド太平洋」戦略や、クアッドというプラットフォームが出来上がっている中で、どういったものを指しているのか良く分からない。なにより、「法人増税します」みたいな、増税大好き人間だが、それでいいのだろうか??

ということで、「自由で開かれたインド太平洋」戦略の継続性という観点からは、①石破氏が最もヤバイ。

麻生~安倍~菅~岸田と続き、それなりに一定の成果を上げてきた「自由で開かれたインド太平洋」戦略。仮にアメリカ大統領がトランプになれば、一国主義のトランプはそういった「横の連携」に興味がないため、そこにつなぎ留めておくために日本の総理大臣の役割は極めて大きいだろう。

そういった大きな潮流の中で、岸田氏のクワッド会合参加は、日本は「自由で開かれたインド太平洋」戦略を継続していく、というメッセージを内外に発するという点において、大きな意味があることであり、決して税金の無駄遣いではないのである。

(画像は写真ACから引用しています)


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