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石炭発電での大逆転なるか?究極のクリーンエネルギーを目指すカーボンリサイクル技術


石炭発電というと、時代遅れのCO2ガスだだもれ技術というイメージが強いが、一発逆転を目指した新技術の開発が進んでいる。

石炭ガス化によるカーボンリサイクル技術だ。

これが実用化されれば、火力発電=悪のイメージが一変し、火力発電こそ究極のクリーンエネルギーとなる可能性があるという、夢の技術である。暗い話が多い日本であるが、たまには夢のある明るい話もまとめてみたい。

カーボンリサイクル技術とは

中国電力を中心に、大崎クールジェンプロジェクトとして技術開発が進行している。

火力発電は蒸気でタービンを回して発電をするという原理になっているが、そこで発生する大量のCO2を分離・回収し、①水素ガスを分離して燃料電池に転用する、②CO2を冷凍・貯蔵して有効利用する(カーボンリサイクル)という、これまで悪であったCO2を一粒で二度美味しいものにしようというものだ。

これは日本の産業構造を一変させる可能性を秘めた、ある意味で「次の産業革命」を起こしうるポテンシャルを秘めた一大プロジェクトであると思う。

多くの分野で中国に抜かれつつある日本の技術であるが、まだまだこういった夢のある分野はあるということだ。

水素を燃料電池に利用するMIRAI

燃料電池とは、水素と酸素を燃料として電力と水を産生するという究極のクリーン電池である。酸素は空気中にあるからよいとして、問題は水素をどのように供給するかということなのだが、この石炭ガス発電の水素回収技術が確立すれば、「電力を産生しながら、燃料電池の燃料も作り出す」という誠に凄いことになるわけである。

自動車業界は世界的にEV化の流れとなっていて、日本は優れた電池技術があるにも関わらずEV化は遅れているわけだが、EUや中国が作った土俵にわざわざ参入することはないと個人的には思う。

トヨタの水素自動車MIRAIはまだ実験的な段階であるが、この石炭ガス発電と水素自動車の開発を並行で進めていくことで、まだまだ世界のトップを走り続けることができるのではないだろうか。こちらに基礎技術予算をぶっこむ方が賢明なように思う。

カーボンリサイクルでトマトを作る

CO2を冷凍・貯蔵して有効利用する(カーボンリサイクル)はまだまだ研究開発段階の技術であって、ここがクリアされないとこの石炭ガス化発電のプロジェクト自体が頓挫してしまうわけだが、菅政権の肝いりでもあり官民を挙げて基礎技術の開発が進んでいるようである。

カーボンリサイクル技術事例集

CO2を使っていろいろなものを作りましょうという事例が上記資料にはたくさん載っているので、ぜひ見ていただきたい。日本もまだまだ捨てたものではないと思えるはず。有望な技術があれば、関連企業に株式投資してみるのも良いように思う。

実用化が一番簡単そうものとして、カゴメが経営するトマト農園へのCO2転用があるようだ。グリーンハウスで栽培するトマトは、ハウス内のCO2濃度が高いほどよく成長するそうで、カゴメはそういったハウスですでにトマトを栽培している。CO2の貯蔵・運搬が可能になれば、最も簡単に実用化できるビジネスとなるだろう。

そんな大崎クールジェンは現在実証実験を行っている最中である。

地球温暖化の悪玉とされる二酸化炭素を逆に利用してやろうという野心的なプロジェクトに期待したい。


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