その検査は何のため・・・?
今月いっぱい研修医さんが私にベタ付きをしておりました。ちゃんとソーシャルディスタンスとってましたよ(笑)
さて、病院というところは受診された患者さんに対してアレヤコレヤと検査をしていき病名を確定していくわけですが、その場合に方法順として①大変ではない検査(すぐに結果が出る検査) ②大枠を外さない検査 からしていくのが重要なわけです。(そんな悠長なことを言ってられない場合もありますが、急ぎではない場合はこんな感じです。) つまり、よく遭遇する病気をうち漏らさないような検査(これを一般的に感度の高い検査:スクリーニング検査)をメインでしつつ、候補に上がる疾患で特徴的(特異度が高い)な検査を裏でやっていくという感じになります。
例えば「お腹が痛い」と受診された患者さんの場合、採血やレントゲンなどであたりをつけつつ、右下腹部の圧痛やCTで虫垂の炎症があるのを見て虫垂炎(いわゆる盲腸)だと診断していくわけです。
緩和病棟にいらっしゃる患者さんは、悪性腫瘍が全身に転移されている場合が多く病気の宝庫になってしまっている場合が多いです。そのため訴えがあっても原因特定が一筋縄ではいかないわけですが、緩和ケア医たちは多くの場合あまり検査しません。
先ほどの理屈からいくとかなり不思議と思われる(若かりし自分もそう思っていた)んですが、主な理由は2つ。①患者自身が検査をしていくことで苦痛が増えていくから ②検査で異常がわかったとしても治療の手立てがほとんど残っていないから です。なかなか無力感に苛まれることも多いですが、症状のコントロールを行うということに重きをおくと選択肢はたくさんあります。そのあたりの割り切りを医療者も患者・家族も理解していかないと難しいことかなと思います。 若かりし自分が思っていた謎を今日の研修医さんにはうまく伝わってないだろうねぇ。わかる時がくるだろう。多分。
ではでは、皆様お大事に〜。