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資源・エネルギー3(鉄鉱石)
鉄鉱石の主成分は酸化鉄です。もちろん鉄の原材料ですね。鉄は工業製品のメインとなる素材であるため、その原料となる鉄鉱石は貿易上も非常に重要な資源です。そのため重量ベースでは、石油の次に取引量が多くなっています。
鉄山と安定陸塊
鉄鉱石は安定陸塊の楯状地を中心に地球上に広く分布しています。鉄鉱石ができたのは先カンブリア時代です。先カンブリア時代と言えば光合成生物が現れた時代、そう、地球上に酸素が増えていった時代です。この酸素が海中の鉄分と反応して酸化鉄となり沈殿したのです。この地層が、先カンブリア時代に造山活動を受け、その後、長い時間をかけて浸食され続けて安定陸塊になりました。浸食され過ぎて岩盤が地表に現れた平野を楯状地といいます。アメリカのメサビ鉄山が代表的です。
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前回の石炭の回で取り上げたアパラチア炭田のあるピッツバーグに鉄鉱石が運ばれ製鉄業が栄えました。この鉄を使いデトロイトでは自動車生産が行われたためGMやフォードなどの企業の工場が多くあります。しかし今は外国勢に押されこれらの産業も下火になり、ラストベルト(錆びた工業地帯)と言われています。
鉄鉱石の産出量
鉄鉱石産出量のデータはこちらからもらいました。
産出量で圧倒的なのはオーストラリアです。続いてブラジル、中国と続きます。
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鉄鉱石の輸出量
輸出量のデータはこちらからもらいました。
![](https://assets.st-note.com/img/1680553111582-6EPVtCEa4E.png?width=1200)
オーストラリアとブラジルで世界の輸出量のほとんどを占めています。中国はやはり自国消費していますね。
鉄鉱石の輸入量
では鉄鉱石の輸入国はどこでしょうか。
データはこちらからもらいました。
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他の資源と同じで中国がダントツです。世界消費のほとんどを中国が占めています。年代ごとに見てみると以下のとおりになります。
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鉄鉱石の輸入額は、2004年に中国が日本を抜いて1位になった後、うなぎ上りに上がっています。その後2010年に日本は世界第2位の経済大国の座を中国に譲ることとなりました。2000年代に中国の国力が一気に上がったことがあらゆる点でわかります。
ちょっと変わったところでは、トリニダードトバゴやセントルイスなどカリブ海の国々が鉄鉱石を多く輸入していることです。
トリニダードトバゴは、カリブ海地域最大の石油と天然ガス産出国です。経済がエネルギー価格に左右されるため、経済多様化を目指して鉄鋼などへの投資を進めています。
トリニダードトバゴは、カリブ海諸国のもっとも南、ベネズエラととても近い位置にあります。
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マラカス・ビーチきれいですね。行ってみたいです。
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世界の鉄の生産量推移
鉄鉱石を使った製品である鉄の生産量推移はどのようになっているのでしょうか。
生データを探せなかったので、こちらのグラフを引用しました。
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石炭、鉄鉱石の消費量とリンクして中国での粗鋼生産が2000年代に急上昇しています。2000年代はまさに中国の時代ですね。
SASプログラム
今回は特に目新しいものはなく、いつものようにsgplotでグラフを描きました。
まとめ
鉄鉱石は、安定陸塊に分布し、世界中のいろんなところでで産出されますが、世界供給のほとんどをオーストラリアとブラジルで担っています。
石炭と鉄鉱石で製鉄が行われます。この産業も中国がメインです。農業の回と同様、圧倒的な人口、資源、広大な国土を背景として生産・消費の大部分を中国が占めています。インドも同様な動きをしています。
かつての日本が人口増を背景に経済発展し、高所得国の仲間入りをしたように、両国も同じような道をたどっています。しかし中国は1人当たりGNIが2021年時点で1万2438ドル(約143万円)と、世界銀行が定める高所得国の基準(1万2695ドル超)をまだ下回ったまま人口減少の時代に入りました。
2023年にインドが中国を抜いて人口世界一になりましたが、インドも高所得国の基準に達する前に人口減少時代に突入すると見られています。
人口減少と経済発展を両立させる方法はまだ見出だされていないのでこれが各国の課題になるのでしょうね。