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患者の苦しみ、セラピストの無知

いつもお読みいただきありがとうございますm(_ _)m
グループメンバーの何人かの方に、私が見ている世界には、何が見えているのか?ということに興味あると言われました。
その気持ち俺もよく分かる。私の尊敬する恩師の目には、どんな世界が見えているのか?これから何を見ようとしてるのか?それを知るために、その恩師の歩んだ道を辿って来たから。
また別の声として、このHealer Ken.Wのページグループで、セミナーをやらないのですか?と何度か聞かれます。
やってます。
【治療家スキル再生塾】
全然じゃないけど、あんまり売れないと思っている。
よく売れるセミナーは、やっぱり明日から使える「技の切り売り」でしょ?
私、治療院の看板で「肩甲骨はがし1000円」って見た時、ビックリしたもん。そんなん売れるんだ!って…
そんな売り方する神経は、私には思いもつかなかった。
肩関節屈曲可動域訓練1000円!
肩関節伸展可動域訓練1000円!
内側広筋強化1000円!
ハムストリングストレッチ1000円!
こんな売り方しようと思わないもん。
ある意味すげーよな。

技術セミナーだって、そんなん多いよ。切り売りばっかり。それが売れるんだろうし、セミナーやる側もその方が儲かる。

やっぱりテクニックというより、ひとつのメソッドは、創始者の哲学からきっちりと学ばないといけないと思う。

テクニックだけに走ったら限界がすぐ見える。だからすぐに次のテクニックが欲しくなる。そうして次から次へとセミナージプシーになっていく。

私の患者さんに慢性腰痛の方がいる。診断名は身体症状症。この診断が出るまで、あっちこっちで診てもらい、色々な事を言われ、様々な治療やリハビリを行ってきた。

私が身体症状症だと思うので、心療内科か精神科で診てもらうように、何度も言ってきた。
自分にとって嫌な事を言われたり、望まない治療をされるとすぐに関係を切られ、私も今このクライアントと4度目の関わりだ。

どこぞの心療内科では、ことごとく考え方や意見を否定され、通院が辛くなり辞めた。
ものすごく簡単なストレッチをしただけで、痛みが増悪して動けなくなったと言い、理学療法士に触って貰えなくなり、別の理学療法士にAKAを受けた時は、「私の治療は絶対に痛くないし、今まで誰一人痛くなった人はいないから」とやってみたらやはり痛くなり、匙を投げられた。
手術で良くなると言われては、そっちへ走り、結局手術をしてもらえない。
そんな繰り返しだったそうだ。

テクニックに走ると、そのテクニックに当てはまらないと、例外なく患者を見捨てる。そして怒る。変わった患者や!メンタルやられとる!そう言って自分を正当化して、患者を見捨てる。

その患者は3度も私の元を去り、なぜ4度目にもかかわらず戻ってきたのか?
はっきり言って、治す自信があるのかと言えばない。
戻ってきた理由を聞くと、「あちこち行ったけど、全部先生の言った通りだったから」だそうだ。

・もちろん腰も悪いけど、それだけじゃない例えば首だって問題はある。
・身体症状症だと思うよ
・AKAでは良くならない
・手術はして貰えない
・心の問題がある

あちこち行ったが、これら全部をあちこちで言われたそうだ。

4度目に戻ってきた時、私は「あちこちで色々言われたけど、結局あなたは何を信じているの?」
すると自分の口からこう言った。
「仙腸関節に問題があると思う」
私は「分かった。仙腸関節は私がアプローチする」と言った。
そして私は続けてこう聞いた。
「膝の痛みはなぜだと思う?」
「腰や仙腸関節が硬くなってるから、それをかばって痛くなってると思います」
じゃあどうすれば良い?と聞くとストレッチや運動をして柔らかさを取り戻す、と自分の口から言った。

運動やストレッチをいくら指導しても、痛くなったと言っては辞める。そしてメールで度々続けて良いのか?と聞いてきたが、自分の口からやらなければならないと言う発言を引き出した。

その患者の考えが、私は正しいとは思わないが、否定せず、教えず、本人の口から自分のやるべきことを引き出した。
いくら教えても、腑に落ちないとなかなかやらないのが人間。

人生には3つの目的がある
①自己実現
これは自分のあるべき姿を見つけること
②生死解決
生まれることも、歳をとることも、病気をすることも、死ぬことも避けようのない苦しみ。これを自覚しなければならない。抗うから苦しみが増す。解決できないものを悩んで何の意味がある?諦めてください。自分でコントロールできるのは、生き方だけなんです。そこを明らかにしてください。
③他者貢献
私たちの仕事は、現場に出ればいきなり他者貢献を求められるんです。だけど①も②も解決してないのにいきなり③を目指しても苦しいだけです。

安土桃山時代の、黒田官兵衛は『水五訓』というのを残しました。

一、自ら活動して他を動かしむるは、水なり
二、常に己の進路を求めてやまざるは、水なり
三、障害に遭つて激しくその勢力を百倍し得るは、水なり
四、自ら潔うして他の汚濁を洗い、清濁併せ容るる量あるは、水なり
五、洋々として大海を満たし、発しては霧となり、雨雪と変じ、霰と化す、凍っては玲瓏たる鏡となり、しかしその性を失わざるは、水なり

凝り固まった思考や心や感情を手放して、水のように自由で自然で柔らかい心を持つことが大事なんですよ。

ブルース・リー先生も言ってました。

「Be water my friends」

患者の痛みを取るだけではなく、特に慢性的な問題を抱えた患者には、3つの人生の目的を意識してもらうようにしている。

理学療法士は、患者のゴールを設定するんです。
よく聞きます「良くなったら何がしたいですか?」
この質問は、上にあげた3つの人生の目的に通じるはずなんです。
ほとんどの若手理学療法士は、分かってませんけど。

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