趣味や音楽、写真、ときどき俳句04 原付の上のサバトラ猫
いつものように散歩していると、あるマンションの駐車場に猫が居るのを見かけた。そのマンションは一階が車や原付、自転車を駐めるスペースになっており、猫は原付の座席シートの上で眠そうにしていた。
それとなく近づいてみると、猫は逃げる風もない。サバトラ猫で、人慣れしているらしく、座席上で香箱座りのまま両目を閉じかけ、うつらうつらしていた。
その時は眺めるだけで立ち去ったが、それからは散歩の時にマンションの前を通るようにし、1階の駐車スペースを覗くとよく猫を見かけた。何匹かいるらしく、猫たちはたいてい眠そうにしており、原付の座席シートや車のボンネットの上で目を半ば閉じ、じっとしている。
ある時も散歩の際にマンションの駐車スペースをのぞくと、例のサバトラ猫が原付の座席上で丸まっていた。静かに近づいてみると、猫は閉じかかっていたまぶたをほんの少し開いた後、ゆっくり目を閉じた。
私は少し間を置いてから近づき、猫の頭の方へ静かに手を差し伸べ、そっと撫でてみた。猫は一瞬ピクッとしたが、その後はされるがままだった。頭の上から耳の後ろのあたりを柔らかく撫でると、目を閉じながら気持ちよさそうにしていた。
下の写真を撮った時も、午後のサバトラ猫は原付の上で眠そうにしていた。確か、コシナのNokton Classic(ノクトン・クラシック)のレンズで撮ったと思う。曇り気味の日で、駐車スペースには人気もなく、ひっそりしていた。
私は猫の身体が呼吸とともに静かに上下するのをしばらく眺め、写真を撮った後、午後の眠りを乱さないようにそっと立ち去った。
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(初出:サイト「セクト・ポクリット」2021.2.15)
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