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前からいまひとつ正体のわからないものに
宝珠や擬宝珠(ぎぼし)がある

橋の欄干に付いていることのある
スライムみたいなやつは何か?と
大人にきいたら「『ぎぼし』や。」と言われ、
知らないものの名前として
聞いたことのない言葉を投げられただけだった
ぎぼしって何よ?

少し成長すると擬宝珠とは字から
宝珠を模したものであることは想像できたが
そもそも宝珠がわからない

ある時は仏画のなかに
ある時には仏像の掌に
蓋のつまみがこの形なこともある

そこにわざわざ置くものが
字の如く宝とか珠とか
単に貴石的な意味合いにも思えない

最近、睡蓮の蕾を水のなかにあるころから眺め
しだいに水上に立ちあがっていくのを
いつ咲くかと心待ちにしているうちに
形の類似で連想されただけだが
蕾みたいなことちゃうんかなと思い至り
自分のなかで妙にしっくりきた
ほんまはどうか知らんけど

ちょうど蕾の内包するような
期待 希望 成就はすぐそこ
というイメージが
宝珠に封じられていて
橋の欄干
仏さまの掌に
蓋のつまみに
配置される意図には頷ける
宝珠の正体は蕾だったのだ
知らんけど

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