聴いた曲を紹介する日記(2023年5月17日)第67回:雷電(「公的抑圧」版)/YELLOW MAGIC ORCHESTRA
雷電(「公的抑圧」版)/YELLOW MAGIC ORCHESTRA
自分がYMOにどっぷりハマった、ハマってしまった理由は、単純に曲のかっこよさ、シンセの音のかっこよさもあるけど、「ライブごとに、公演ごとに、音やアレンジが基本的に違う」という要素が大きい。
年単位、ツアー単位で違うのは勿論、同じツアーの中でも公演日、公演場所で毎回基本的に別物であるという事実に気づいてしまってから、自分の「まだ聴いたことがないYMOの音源を探す長い旅」は始まってしまった。
公式リリースされた音源は勿論ひととおり聴いたし、リリースされていない非公式なゴニョゴニョ音源まで、もうさすがに、アルファレコード関係者が抱え込んでいない限りは現存してるもので聴いたことがないものはないはず……(と思っていた数年前、まだ聴いたことがなかった音源が出てきたりしたのでインターネットは広大)。
「とにかくYMOのあらゆる演奏音源が聴きたい」という自分のような人がいたから、所謂アルファ商法(ベスト+未発表音源収録盤の乱発)も幅を利かせたのかなあと思うけど……(自分はYMOリアルタイム世代ではないので、とにかくリリースされるものはひたすら買うしかなかった)。
演奏ごとに全く別物になる要因、当時のアナログシンセの繊細かつ文字どおりアナログな仕様的に、できるだけ同じセッティングというのは可能でも全く同じ音は難しいというのもあるけど、メンバー全員の生演奏技術が高すぎて「確実な演奏」をしたうえで「流れや尺は決まっているし守るけど、その中で毎回実験的に自由なセッション」をやっていた、やれていたというのが何より大きいのかなと思う。
「公的抑圧(パブリックプレッシャー)」は、当時のライブ音源、という触れ込みのアルバムながら、契約上の都合でライブに参加していた渡辺香津美のギターのトラックがまるまる坂本龍一の後入れのシンセに差し替えられていて、さらに話がややこしい。
後に渡辺香津美のギターもそのまま入った音源もリリースされたけど、シンセ版は結果的に音全体がテクノポップ寄りになって、ギター版はロック寄り、ライブ感が強めの感じになって、それぞれ違った良さがある。
アルファレコード時代にリリースされたライブ音源、サブスクでは一部しか配信されていないのだけど、権利関係の問題なら、なんとか解決して全部配信してくれないかなあ(1979年のグリークシアター公演とか、1981年のWINTER LIVE公演とか)。