![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161746752/rectangle_large_type_2_ad0dfca3f50cc99ddcc15cf170cb0cd9.png?width=1200)
僕の体は雨の集まり
あなたの指は春の木漏れ日
結論から申し上げますと、私の体はすべて雨に起因するものからできており、一種の有機交流電燈のように、さまざまなものが交わってできています。
まずは、動画を見ていただきたい。
動画で紹介されている井川蒸留所は、ここにある。
![](https://assets.st-note.com/img/1731481818-z5skSlqyEfLNJwYWcPXCKVQZ.jpg?width=1200)
3000M級の山々が10座連なっている秘境だ。
現時点では、通行許可を得ないと、その山林に足を踏み入れることはできない。
そんな場所に、ひとつの蒸留所ができた。
井川蒸留所である。
蒸留所ではウイスキーを作っているらしい。
仕込み水に「木賊湧水」を使っているとのこと。
私は、この木賊という漢字に衝撃を受けた。
もともと、この地域は日本書紀に記述がある通り、山から木を伐りだしていた。
漢字の意味として「賊」には「盗む」という意味が含まれる。
「山から木を盗むという概念」
この事を心に、木を切り出した人がいたはずだ。
湧き水が湧きでるその場所を、このように名付けた人の思慮深さに感銘を受ける。
私は、その湧き水を「飲んでみたい!」と思った。
海から水蒸気となり、雲となり、雨となって再び地上に降り注ぐ。
自然の力で標高3000mに降り注いだ雨。
それと、スコットランドから厳選した大麦や一粒選りの酵母たちが、人々の手で運ばれた。
「この2つが合わさった時、どんな味になるのだろう」
と疑問を持った。
水が3000mの標高に存在することは、当たり前のようで、実は凄い事だとおもう。
人間の足で3000mを登るのは相当キツイ。
喉の渇きを癒す為に持っていった水筒を捨ててしまおうかと思うほどだ。
それでも登り続けると最高の景色が待っている。
それらの景色は、その瞬間でないと見る事は出来ない。
例えば、光と物体が交わらない限り、宇宙空間は暗闇である。
その事と同じく、人と自然の繋がりを感じる瞬間だ。
私は、ここの熟成前のニューボーンを飲んだことがある。
近くのバーではのめなかったので、けっこう遠出をした。
口にした時の事を今でも忘れません。
香り高く、黄金の水が喉を通っていく感覚が鼻全体に広がったのを覚えている。
自分の趣味になるが、山崎はあまり美味しいと思った事がない。白州や響はまぁまぁ。
高級なお酒は、蒸留の過程でアルコールも研ぎ澄まされている。
どんなに飲んでも気分が良くなっても、次の日に支障がでない。
いわゆる二日酔いにならないお酒がこの世にはある。
1番好きなウイスキーはマッカランだ。
これは、貴賓なバニラの匂いが芳しい。
井川蒸留所のニューボーンの味について。
まだ熟成前だったことから、マッカランのような熟成には若干及ばないが、確実に独自性を保って世界に躍り出るべき味だと感じた。
日本を代表するウイスキーとなるだろう。
一緒にいったソムリエの友達も同じ感想を持っていたので、間違いない。
そのウイスキーが本日発売となった。
六本木や北は北海道、沢山の酒屋に電話したが、発売初日であるのに関わらず完売となっていた。
私は結局のところ、手にしていないが、いつかのむのが楽しみでそわそわしている。
また足を運ぼうかと考えている。
今回発売されたボトルのラベルには
「タカネマンテマ」
の絵が施されている。この植物は、氷河期から地球に生息していると考えられるが、近年絶滅危惧種に指定された。
高山帯の岩場に、うつむき加減の小さな花を咲かせる。ぼんぼり状に膨らんだツボミが愛らしい。
ヨーロッパから北米にかけて北半球の高緯度地域に広く分布するが、日本では南アルプスにのみ、何故か生息している。
風か鳥が届けたのだろうか?
それとも、雨が集まり大地が生まれる中で、人と共に根付いたのであろうか。
いいなと思ったら応援しよう!
![kuzumiman](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/173444851/profile_9211cfcf80c717c7dfa5210463bd32bb.png?width=600&crop=1:1,smart)