小さな子供のように
世界が終わるらしい。
もう半世紀以上生きている私はともかく、社会に出たばかりの下の子や、結婚して妊娠中の上の子も含めて、生きて、話して、笑って、泣いている私達の世界が……終わる。
どうしようもない。せめて、子供達が最後に手を繋いでいたいと思える伴侶をそれぞれ得ている事だけが、有難い。顔は見なくてもいい。最後に電話で少しだけ話をしよう。それから、それぞれの伴侶と過ごしてくれたらいい。
私も残された家族で、積もる話をしよう。
あっという間だった。色んな事があった。お茶を飲みながら話をしながら、その時を迎えよう。ついこの前まで子供だった私が、いつの間にか大人になり、結婚して子供が生まれて、今に至る。人生はあっという間。まるで滑り台を滑り降りているよう。
世界の終わりには、頑張って買った家も車も服も、大好きな物も大好きな人も持って行けない。思い出と大好きっていう気持ちだけしか。
もう仕方ないんだ。
やらなかった事、やりたかった事。まだまだあるけど、その気持ちは手放さなければ。
神様はいると思う。
世界を未来に繋げられないのは、全体を見渡している神様の判断なんじゃないかな。神様は1人。神様は八百万。全部合わせて1人といえば1人。役割ごとに八百万といえば八百万。その中に、イエスもブッダもヤハウェも天照大御神もいるんだと思う。
八百万の神様のうち、私が生まれてから今までずっと寄り添ってくれた神様もいる。
どんなに辛い事があっても、助けてくれたりしない。神様は手を出せないんだ。見守るだけ。見守る魂が泣いている時は神様も辛い。喜びに震えていれば神様も喜んでいる。共に。ずっと。
私が魂だけになったら、その時は会える。
ずっとずっと見守ってくれていた神様に。
「見ていてくれた?ちゃんと見ていた?」
「ずっと頑張ったでしょ。」
「私、凄い頑張ったよね?」
小さい子が親に言うように、初めて神様の顔を見られたら、そう言うんだ。
今夜、世界が終わるらしい。
いつかまた、別の滑り台から滑り降りる時もずっと見ていて、神様。
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企画参加
かーるさんの
【超短期if企画】『明日、世界が終わる前に』
に参加します。
う~ん、神様がいないってなったら嫌だけど、いると思うし、信じてる。