イオンBSDでみる、タコ焼き事情 日本食ブームでインドネシアに定着する
インドネシアでは、タコ焼きが定番のファストフードとなりつつあります。
タコ焼きは、専用の道具さえあれば割と簡単に作れるものです。簡単に始められるビジネスとしてインドネシアで展開されているタコ焼きについて考察します。
海外ではいたるところで日本食ブームとなっています。日本料理が海外で人気になる事は珍しくありません。
通常は、日系の飲食関連企業が営業戦略として海外でブームを発生させています。
しかしタコ焼きの場合は、インドネシア地場系企業が自発的にたこ焼きビジネスを興し、積極的にフランチャイズ加盟店舗の増加を目指しています。
タコ焼きは今や日本を離れ、異国の地で大きな利益を生み出す商品となりつつあるのです。
インドネシアは島国で、近海で多くタコが獲れますがタコを食べる文化はまだありません。インドネシア人はイカが大好きなのに、なぜタコは食べられていないのでしょうか。そもそも、タコを食べる文化は世界的に見て珍しい習慣です。日本と朝鮮半島、スペイン、イタリア、ギリシャなど地中海の一部地域などにその風習があるくらいです。
昔からデビルフィッシュ「悪魔の魚」と言われてきたタコを好んで食べることは世界的に見ればマイナーな食べ物と言えます。しかし、近年タコは高タウリン低カロリーでヘルシーなイメージと、日本食ブームにのって日本人が昔から好んで食べるタコ食にスポットがあたっています。
インドネシアでも、ジャカルタのモールには必ずタコ焼きワゴンの屋台が増えつつあります。
インドネシア人はタコ食文化を受け入れてきている感じがします。
タコ焼きはタコ焼きプレートとタコと小麦粉、玉子、ソース、油があれば始められるビジネスですので、初期投資が少なく開業できる利点があります。
インドネシアでは屋台やモールの中のミニ店舗をよく見かけますが、タコ焼きはまさにミニ店舗のための商品です。インドネシアの市場ではそうした手軽さ、コストパフォーマンスの良さが常に求められているようです。
イオンは2015年に南タンゲラン市にイオンモールBSDシティを開店しました。敷地面積10万平方メートル、延べ床面積17万7000平方メートルと巨大メガモールです。ジャカルタ中心部からは西へ高速道路を約1時間走ったタンゲランにあります。イオンは日本でもタヌキがでるところに立てると言われていて、BSD周囲は何もない状態だったが、イオンが開店すると周辺は開発が進み、現在では商業施設や住宅が整い、ひとつの街が形成されました。
イオンモールBSDシティの取り組みを紹介する場面では「店を作る時は必ず地域住民の話を聞くと同時に、その地区でどんな店が求められているのかということを前もって研究する」と話し、小売店が地域と共に発展していくことの重要性を説いています。
イオンBSDでは、日本と同じようにほとんどが日本食です。
和食、寿司、天ぷら、ラーメンなどすべて揃っています。
日本に行けなくても日本食文化に触れることができますので、日本好きのインドネシア人でいつも賑わっています。
イオンBSDには、食品売場の前に大きなフードコートがあり、寿司や天ぷらコーナーなど日本食を家に持ち帰ったり、買ってその場所で食べたりして週末はいつも行列ができています。その中にタコ焼きコーナーがあり、たくさんのたこ焼きが並んでいます。隣にはタコ焼きを焼く鉄板がずらりと並んで、焼き上がってパックされるとどんどん売れていきます。
タコが入っているタコ焼きはクラッシックとして販売され、タコが食べられないインドネシア人に対して、ビーフ入、サーモン入、チーズ入りなど、大阪のタコ焼き屋が見たら怒りそうな具材入のタコ焼きも売れています。
インドネシアでは、中身がタコでなくても、小麦粉を丸く焼いたものにソースがかかったものを「Takoyaki」であるとインドネシア文化に適合した形に変化しています。
インドネシア人は、新しもの好きなので日本食文化のひとつであるタコ焼きもインドネシアの好みにあわせてブームを起こしているようです。
イオンは、インドネシアで日本と同様の高い品質で値段を安くすると言っており、品質の高いものであれば喜んでインドネシアから調達していくと言っています。
タコ焼きもタコや使用する食材を日本から調達するのではなく、地元で漁獲されたタコや地元食材を使用し、インドネシア人に安く提供しています。
イオンはインドネシアで商品を販売するだけでなく、インドネシアの商品を日本に売り込んでいくと言っており、インドネシアで変化してブームになった食の文化が日本へ逆輸入されることもあるかもしれません。
インドネシアで、日本食をおいしそうに食べるインドネシア人を見ながら、日本に興味を持ち日本とインドネシアの友好がより深まっていくことを感じています。
日本発祥のタコ焼きという食べ方が広まることで、インドネシアでタコがもっと身近な食材となり、タコの美味しさを理解してもらえると嬉しいですね。