藤崎町(青森県)の社会福祉協議会に先進地視察に行ってきました
現在、犬山市で大きな課題になっている社会福祉協議会の経営改革。今年度、市議会でも民生文教委員会で重点テーマとして取り上げ、様々な角度から調査を行っているところです。
その一環として、驚くべきスピードで赤字経営を立て直した藤崎町(青森県)の社会福祉協議会に先進地視察に行ってきました。以下、報告です。
藤崎町はりんご、野菜、にんにく、農業のまち。
「ふじりんご」の名前の由来にもなっている。
ここを視察先に選んだのは社会福祉協議会(社協)の大改革を成功させた町であったため。
犬山市社協は年間1000万円程の赤字が続き、黒字化は見通せない状態。基金も枯渇しつつあり、抜本的な経営改革が待ったなしの状態になっている。
今年度の民生文教委員会の重点テーマとして、社協の経営改善に取り組むこととしている。
藤崎町社協の改革が始まったのは2015年頃。立役者である成田全弘事務局長の話を聞いてきた。
成田氏は22歳で社協に入り、25歳から事務局長を30年以上続けている。
赤字経営が続き、今後6年間で1億1千万円の赤字が出るという試算。
このままでは社協が成り立たなくなってしまうという危機感があった。
やる時は一気にやらねば、と決意。
「地獄を見た」とのこと。
藤崎町は民間の社会福祉施設が多い地域で、競争は激しく、介護保険料は全国5位の高さ。
大学の教授からも「辞めたら」と勧められた。
しかしもし民間の介護福祉施設が成り立たなくなるような事態になれば、誰も介護福祉サービスを提供できなくなってしまう。
その時の最後の砦が社協。
みんな「社協は潰れないでしょ」と思っているが、そんなことはない。
経営コンサルに分析してもらい、人件費比率が高いことが判明。
社労士に依頼し、人事考課制度の改訂を断行した。
人件費削減を目的とするのではなく、正当な評価をするという方向性。
保険外サービスにも力を入れた。
介護報酬の「加算」についても、事務が面倒だと言って見逃すのではなく、積極的に取りに行くべき。
制度改変時などは国にも働きかけを強め、結果的に「寒冷地加算」を獲得した。
介護職だけでなく事務職にも別立てで人事考課制度を導入し不公平感を解消。
それ以降、黒字経営が続き、経営改善の目処がついた。
【久世の視点】
藤崎町社協の改革が成功したのは、成田氏という熱意に満ちた中心人物がいたことが大前提ではあるが、ポイントは人事考課制度の改訂だった。
人事考課制度の改訂は「不利益変更」になるかどうかがが分かれ目。
藤崎町社協ではそうならないように制度設計していたことがわかった。
不利益変更に当たると労使合意が必要になるなど非常に大変で、組織が大きくなればなるほど時間がかかり、頓挫しやすい。
犬山市社協でも「職員一人ひとりの意識改革」が必要とされているが、制度としてそれを促進する仕掛けが必要だろう。
人事制度を変える場合、専門知識を持った社労士の関与は必須。犬山市社協でも検討すべきだ。