【本の感想】橘玲『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ』2017年。日本版の金持ち父さん
【本の感想】日本版の金持ち父さん『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ』2017年。橘玲
橘玲氏で思い浮かぶのは
『言ってはいけない ー残酷すぎる真実ー 』が有名で遺伝子や統計の理系ライターかと思っていたのだが
出世作はこちらの『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ』と知って驚いた。
「お金」の基本図書といえば ロバート・キヨサキ氏の金持ち父さん 貧乏父さん:が超有名だが、思想書としては面白くても日本での現状に全くあってなく(むしろ害になる)
歯がゆかったが
完全に日本に住む日本人向けに書き下ろされているのが
『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ』だ。
実践的で面白い日本に生きるための知恵だ。
橘玲氏が言うところの「黄金の羽根」とは日本を巣くう「制度の歪み」だ。
制度が歪んでいるところには、黄金がほとばしっている。
ほとばしっているのだから、すするしかないということだ。
制度の歪みといえば本書に無いが身近でいえば例えば「転売屋」の存在がある、需要と供給を満たす制度が歪んでいるので
「転売屋」という商売が生まれる。
橘玲氏は様々な日本の歪みを指摘する。
本の取次屋から始まり、保険、年金、不動産、税制。。。
ありとあらゆるところが歪んでおり穴だらけである・。
民主制が建前のわが国では、大多数の票(田)の為に様々な規制の網や優遇処置を作る。
複雑になればなるほど、制度が歪みが大きくなる・。
そこから黄金の羽根がほとばしる。
いたちごっこといえ、民主制では議員が決まり法が整備され、法が施行し実務に落とし込まれるまでは時間がかかる、政局でうやむやになることも多い。長年放置されている制度もある。
黄金の羽根拾い放題である。
それを潔しとしない人もいるし、それもうなづける。
拾うのも、拾わないのも、あなた次第ということだ。
この本の特徴的なところは「お金」の図書、お金持ちになれる本でありながら
日本の歪んだ制度を赤裸々にルポしているところであろう。
お金や投資に興味が無い人でも(そんな人いるのか?)
日本国の制度のどこが矛盾で不合理で歪んでいるのかを知り得る、
痛烈な現代日本制度批評たる本でもあるというダブルミーニングに気付けば、
お金持ちになれるという伏線が一種のホラーにも感じるかもしれない。