楽器の寿命
ギターは死ぬ。
死に方はたくさんあるんだろうけど、自分のギターは状態がピークの時と比べて音や手に伝わってくる感触が、衰えた。原因はベッドから立ち上がったとき転んでスタンドに立てていたギターと一緒に倒れこんでネックに少しだけひびをいれてしまったことだった。
次の日、弾いていて左手に伝わってくる振動が半減したことに気づいた。次の月、直しても直してもネックが動いて弦高が高くなってしまうことに気づいた。寿命を縮めちゃったんだと感じた。
5年と2ヶ月くらい経ってたと思う。夏の終わりに秋葉原で買ってもらった初めてのエレキギターで思い入れも相当あった。中学の文化祭とか。
この楽器のおかげでメンテもパーツ交換も自分でできるようになったし、仕組みとかもなんとなくわかるようになった。
ギブソンの廉価版のギターだったけど誰より綺麗に鳴らせる自信を受け取ったし、どこをどう弾けばどんな音色になるかわからせてくれる良いギターだった。
ピークの時のことは覚えている。弦高を極限まで下げた弦の振動が左手にびりびりきて繋がなくても十分鳴ったけどアンプに繋ぐと最高にテンションが上がるクリーンとオーバードライブが鳴った。ディストーションはよくわからなかった。白かったボディが日焼けしてクリーム色になってた。
その時点でより優れたギターが一本あったけど、こうどーんと行きたいときはこのギターをばんばん使ってた。
まあとにかく最高だったさ。悪いとこも知ってるけど上手く使うで!という気分になれたし。
後悔としてはもっとあのギターでライブに出て音残したかったなと思う。
ただ甦生できることも知っている。私の場合、ネック裏の塗装の割れとその奥の木材も少しだけ割れてるっぽいから接着か、ネックまるごと交換ということになるんだと思う。元の感じには絶対戻らないだろうから蘇生と言うより復元とか言う作業になってくるんだろうけど。
それは立派な大人になってからだろうな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?