親子編 57回目 五拾九
国際結婚においての婚姻の部分で触れたように
婚姻をする際には、当事者それぞれの本国法の
婚姻に関する要件が満たされており、かつ
相手側も満たさなければいけない条件がある場合は、
それも満たさなければいけないとされていました。
しかし、この広い世界。
様々な文化や宗教、人種などなどあらゆる異なる要素が
入り乱れて、それぞれの土地における法律があります。
それは、日本にとって、必ずしも受け入れることが
できない法律もあります。
もし、配偶者となる外国籍の本国法において、
相手方(日本人)に対して、日本法においては
受け入れられないような条件であった場合は、
どうなるのでしょうか?
どちらにも満たさなければいけない条件が、ただ
それだけを満たさないがために、結婚できないという
ことになれば、それは当人達のみならず、人としての
権利というものを阻害することにならないでしょうか。
そういった事から、国際法の国際私法という分野では
その時の対応を決めています。
通則法42条では
「外国法によるべき場合において、
その既定の適用が公の公序
又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない」
とされています。
「善良な風俗」というのを定義すると非常に小難しくなって
しまうので、大雑把な言い方をすれば、
「日本人として常識的な文化や考え方」といえるかもしれません。
細かい部分に関しては、専門書が何冊も書けるくらいの分量が
学会でも問われていますから、そこは割愛します。
つまり、いかにその国において合法である。とするものであっても
その内容が日本において「善良な風俗」として認められない
ものであれば、その法律のその部分に関しては、日本においては
適用しないということです。
ですので、その本国法自体がすべて善良な風俗に反する。というのでは
なく、その法律自体は、法律として認めるけども、その問題となる
「部分のみ」を日本の国内では使いませんよ。ということです。
ですので、この適用は、非常に個別の案件ごとに判断が分かれる
ことになります。
成人年齢にしても、各国様々です。
日本では18歳ですが、では、17歳は公序良俗に反するのでしょうか?
16歳は?15歳は?というように、非常に微妙なラインの問題も
多数あります。
どこからどこまでが善良の風俗に反するのか?というのは
その問題ごとに影響する度合いもすべて違いますから、
それを画一的に判断しようとすると
それでは逆に問題が解決ではなく問題が大きくなる場合も当然に
出てきますので、「善良なる風俗に伴う排除」というのは
非常に難しい判断を要します。
そして、この「善良なる風俗」にともなう適用をしないことを
「公序則」といいます。
「公序」の「法則」ですね。