養子縁組編 99回目 百壱
また、養子成立前における親族関係を
含めての断絶になることから
特別養子縁組の場合、実方の父母の同意を要します。
ただし、この父母の同意に関しては例外として
・「実方の父母がその意思表示をできない」
(事故や行方不明などにより確認ができない場合)
・「父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を
著しく害する事由がある」
場合には、同意を必要としません。
ここにいう
「虐待」とは、子の身体的、精神的に苛酷に取り扱う
ことであり、「悪意の遺棄」とは、正当な理由がないのに子を放置して、
監護養育義務を怠ることです。
「その他養子となる者の利益を著しく害するような事由がある場合」
とは、虐待、悪意の遺棄に比肩するような事情がある場合、すなわち
父母の存在自体が子の利益を著しく損なう場合です
(東京高決平成14・12・16家月55・6・112)
(南敏文 木村三男 青木惺 「家事裁判から戸籍まで」 275項)
上記判決では、「子の福祉」という部分をとらえています。
つまり、実親であろうとも「子の福祉」を害するのであれば、
それをもって監護養育義務というものを果たしていないと認定されており
そのような子に対しては、実親との断絶をしても特別養子縁組による
監護養育をするとしていますので、特別養子縁組という制度もまた
こういった状況下で使うことになります。