婚姻編 22回目 弐拾六

日本の婚姻届けには「証人」欄があります。

国際結婚の場合、この証人欄の記入はどうすれば

いいのでしょうか?

そもそも証人が求められる理由が

「婚姻、離婚等のごとく届出によって効力を生じる

重要な身分項については、届出意思について信憑性を

高める趣旨にほかならない」

(渉外戸籍実務研究会 「渉外戸籍実務の処理」204項)

(昭和39・11・27民事(ニ)発426号民事局認可)


となっています。

たとえば、宗教的な婚姻手続きをして、式をあげて

宗教の司教などに認定や認証されるような場合の国々も

あります。

また、裁判所や、公的な認証役場のようなところで

公的な証明を受けたりする制度の国もあります。

ところが、公的な機関が認証や確認する制度ではない

日本の婚姻制度で、形式的な要件としては届出を出せばOK

ということなので、その届出が、本当に当事者の意思に

あっているものなのか?ということに対して

担保保証することができないわけです。

そこで、当事者以外の二人の証人の立てることで、

届出の内容を保証するという意味合いがあります。

そうなると、その証人の責任というのは軽いものではありません。

当事者の二人が本当に婚姻する意思があり、自らの意志によって

行っていることを保証するので、その意思を確認する義務が発生

します。

ですので、たとえば、偽装結婚や、偽造書類をもちいての

婚姻などに署名押印して、戸籍にうその事実を記載させる行為が

あった場合は、刑事罰はもちろん、損害賠償の対象になります

(高松高判昭和37/1/20下民集13巻1号45項)


届出の証人となることができるものは、当事者以外で、しかも

当事者の意思が真実であると証明できるものであれば国籍を問わず

証人になれます。

(昭和6/7/24民事794号回答)

ですので、外国人でも大丈夫です。ただ、言葉が通じなければ、

本人たちの意思を確認することができませんから、証人では

ないです。

おめでたいことなので、それほど深く考えずに証人になる。

ということも聞きますが、決して気軽にできるものではないので

きちんと信頼できる間柄の人にお願いした方が後々の

トラブル予防にもなります。