親子編 54回目 五拾六
前回において、届出書を全部を複写して、
届出書の記載事項証明書として
交付をすることは差し支えありません。
(昭和30・8・6民事甲1667号回答)
とありました。
これは届出書の写しに対して受付印をおして証明書として使うという
ことですが、よく戸籍を証明書として使う場合の「謄本」ではありません。
役所に提出時にあらかじめ自分で書類のコピーをとって
おき、提出時にコピーにも受付印をおしてもらい
仮証明書として使うという事です。
あくまでも「仮」なので、公的な証明力はありませんが、
同じものが役所へ提出された疎明(蓋然性が高い)にはなります。
「謄本」「抄本」は、全部の写しか、一部の写しか、の違いですが、
「複写」に関しては、規定がありますが、
「謄本」「抄本」に関しての規定は
ありません。
届書の謄抄本の請求には応じられない
(昭和35・10・27民事甲2679号回答)
とあります。
「届書の謄本」の作成は、戸籍法第36条第3項以外に規定はなく、
身分関係に関する公証のために交付する根拠がないからです。
(渉外戸籍実務研究会 渉外戸籍実務の処理 307項)
ですので、まとめると、
日本に在住する外国籍同士の身分行為に関する届出において
その届出の証明として交付を請求することができるものは
・受理証明書
・記載事項証明書
・届書の全部複写
になります。
謄本や抄本を交付するための根拠となる法律が
ないため上記三つのみでの対応です。