養子縁組編 92回目 九拾四
この成年養子縁組に関しては、
平成元年10月27日第166回東京戸籍事務連絡協議会
の協議結果でも、わが国の未成年者の家庭裁判所の
許可などは成年養子の場合には不要であり、
これを理由に不受理とするべきではないとされています。
(渉外戸籍実務研究会 渉外戸籍実務の処理 63項)
これは、一般的な見解ですので、実際の届出の場合には
事前調整と相談をした方がよいです。
先例としては
日本人男が成年者であるネパール王国人男を養子とする場合は、
ネパール国人男の本国法上保護要件としてネパール王国政府の
許可が必要であるが、その許可があることを証明する書面等の
添付のない養子縁組届は、受理することができない
(平16・9・10民一第2503号回答)
(西堀英夫 都竹秀雄 渉外戸籍の理論と実務 220項)
日本人夫婦がインドネシア人(成年)を養子とする創設的養子縁組届
については、インドネシア法では5歳未満の者が養子となることができる
が、5歳未満の者が養子となるときに必要とされる社会省の許可についての
保護要件は、成年養子に適用すべきでないから、
省の許可は必要ではない
ので、社会省の許可なく受理して差し支えない
(平21・7・2民一第1598号回答)
(西堀英夫 都竹秀雄 渉外戸籍の理論と実務 221項)
台湾系中国人(成人を養子とするにつき、中華民国民法1079条の法院による
認可につき、水戸家裁土浦支部平成4年9月22日審判(家月45・10・75)
は、家庭裁判所の許可で代行しています。
(南敏文 木村三男 青木惺 家事裁判から戸籍まで 105項)
これらの先例も個別に対応していると思われます。
やはり、本国法上の保護要件の意味や対象を精査したうえでの届出の可否を
断しているようです。