閑話休題
未曾有というか、ここ数十年ではなかったほどの
パンデミックになった3年間ですが、
もう忘れ去られているであろう客船のパニックが
始まりでした。あの事態からあっという間に混乱
状態に至り、手探り状態で経営変革が、すべての業種で
起きるという事態に至りました。
直撃した業界、恩恵を受けた業界、悲喜こもごも。
そんな中、日本の行政では珍しくというか、異常な程の
速さで各種補助金や、給付金事業が続々と開始され
有象無象の状態で資金注入されていきました。
その結果、今現在いろいろと問題も問いただされています。
(入管業務にあっては、通達、通知の嵐、毎日のようにHPでアップされるので更新、改定を見逃さないように毎日ピリピリしていました)
もちろんあれだけの混乱の中で、早急にセーフティーネットを
構築するというのは至難の業です。
日々日々変化する感染者数、混乱する医療、統一しない専門家の
見識と意見。煽る報道、報道に乗せられて冷静さを失う人間。
これでもか、と社会的混乱を招いたわけですが、拙速な制度には
必ず致命的な欠点が内在します。
どの業界にも、その欠点に精通する「輩」がいるのも事実。
氷山の一角ではありますが、コロナが落ち着いてから、「輩」の摘発
が続いています。
残念ながら各士業でも「処分」「逮捕」にいたる事態に至っているのは
なんとも嘆かわしい限りです。
困窮する企業や人を助けるための制度を悪用する、もしくは悪用する者に
手を貸した結果、「処分」「逮捕」に至っているので自業自得以外なにもの
でもありませんが、最後は、その人間の倫理観という部分が大きく関わっています。
士業でも企業経営に関わる部分も多いため、企業へのサポートとして提案し実際に補助などによって企業が延命できたという事案がほとんどです。
実際そのことによって、雇用や収入が確保できた部分は大きいです。
しかし、メリットの裏には必ずデメリットがある。
その部分まで詳細に説明していたのか?と思える事案があるのも事実です。
弊所というか、私の事務所では企業案件というの主体ではなく、個人などが
主体で、専門分野が特殊ということもあり、件数自体は少なかったですが、
正直、安易に手を出そうとは思いませんでした。
あのような状態の中で、役所ですらまともなマニュアルや手続き規定が
整備されず「給付ありき」で突っ走る制度は、絶対あとになって
問題が噴出するからです。
役所が悪いというのではありません。
政権が世論に押されて思いつきで始める制度は、霞が関でざっくりと制度概要だけを決めて、あとの処理は、ほぼ地方自治体に丸投げで案件処理が飛びます。
そして、まともな指示もないまま現場に投げ込まれて、一方的な報道を信じた市民が窓口に殺到し、訳も分からず処理を開始するというのが恒例なのです。
その場はなんとか乗り切っても、落ち着いてから問題が出てくると、犯人探しと、後始末で混乱するのもまた恒例なのです。
もし、日ごろから付き合いのある企業であれば、経営者とのコミュニケーションや、性格も企業の内情も把握し、財務状況も分かるので、補助金や給付金への対応もできますが、飛び込みで来られる企業では、社歴や取引実績、財務状況も把握できません。そのような状態では正確な申請ができない上に、上記のような役所の行動原理リスクを経営者へ合理的に説明するのが困難なため、限られた企業のみしか受け付けませんでした。
そして、結果は今現在ということです。
確かに経営という部分を考えれば、商機はなによりも大事です。
しかし、「何を見るか」「何を基準にするか」で経営の本質が変わります。
自分の本分とは何か?ということを毎日考えさせられる3年間でした。