婚姻編 6回目 ⑩
日本人Aさんと外国籍Bさんが、婚姻届を出す前に
自分たちで婚姻の有効な成立のための本国法の内容
を確認するかと思いますが、
役所に婚姻届を出す場合には、役所の方でも
「実質的成立要件」=「婚姻」を「実質的に」「有効に」
成立させるための条件を審査します。
日本人Aさんであれば、戸籍においてこの要件を
審査することが可能です。
生まれてから現在までの身分関係の記録が戸籍には
載っているからです。
ただ、外国籍のBさんの場合は、戸籍がありません
から日本にいる場合に身分行為の際の証明書となると、
パスポート、在留カード、住民票といったものが主で、
「本国での身分が実質的成立要件に本当に合致しているのか?」
というのは、日本においてその条件を見極めようとしてお
わかりにくい、もしくは、わからないことになります。
そこで、外国籍の方は、本国の官憲(公的に証明書を発行する機関)
が発行する
「要件具備証明書」
自分自身が本国法において婚姻をするための条件を完全にクリア
しているという本国で発行された証明書等)
を取得して、婚姻届とともに提出することになります。
この「要件具備証明書」の中身は、
「身分行為を行うために本国法上なんら障害がない」
ということに関して全部の要件が一括して書いてある
書類のことです。
形式は、各国いろいろあるので、内容で証明ができればよい
ということになります。
(昭和30/2/24民事甲394号)
渉外戸籍実務研究会「渉外戸籍実務の処理」232項
本国で、要件具備証明書の発行ができない、する機関がない、
できない場合は、前回同様に本国法の身分法、民法など
身分行為に関する法律内容の出典を記した本文と、
その翻訳文をもって、実質的成立要件
形式的成立要件を明確にして、それらを証明する書面が
必要になります。
この段階まで来るとかなりのケースバイケースに
なってくるので、役所側も法務局や本省への問い合わせ
になってくると思うので、時間がかかると思われます。
事前に連絡して相談するのも手続きをスムーズに進める
ための方法かもしれません。