婚姻編 100回目 百弐
国際結婚などの相続等において
「住所」を基準にする場合などがありますが、
日本の感覚でいう「住所」と外国でいう「住所」
は必ずしも一致しません。
「住所」において日本と大きくことなる考え方なのが
英米法における住所と言われています。
英米法上の住所(ドミサイル)
ドミサイルは、
「一定した住所を置き、そこを離れても帰来する意思を
もっている場所、すなわち居住の意思と永住の意思が住所の
成立要件である
(最高裁判所事務総局「渉外家事事件執務提要(上)」21項(法曹会、1991))
ドミサイルには、
本源住所(出生と同時に付与されるもの)
、
選択住所(成年に達した能力者が自らの意思で改めて選択するもの)
従属住所(未成年者や妻等がその父母や夫の住所に従属して取得するもの)
の区別がある。
認定に当たっては、ドミサイルに関する英米法の検討が必要となる
(加藤文雄 新版 渉外家事事件整理ノート 19項)
といったものがあり、単純に住んでいるところとしての「住所」
や、戸籍がある「本籍地」とは違った概念で運用されるものを
もとに判断しなければいけない部分もあります。
特に「住所」というものが必要になるのは、国際結婚などで
それに伴う法律行為で、裁判所を介在させて問題を解決しなければ
いけない場合などに、厳密に様々なことを検討しなければいけない
ことから、こういった「住所」ひとつとっても、非常に厳密な
判断を求められますので、専門分野として扱っている方が取り扱い
をする必要があります。