婚姻編 4回目 ⑧
日本人Aさん、外国籍Bさんが、
Bさんの本国で結婚した場合は
どうでしょうか?
前回の「婚姻挙行地の法」
つまり、法律的に有効な婚姻を成立させる
事ができる国の方法で婚姻ができる。
ということですが、これは、Bさん本国で
本国法にしたがった有効な婚姻をすることが
できる。ということです。
有効な婚姻の方法というのは各国違います。
日本のように役所に届出を出す場合もあれば
・宗教の戒律に沿ったものでなければいけない場合、
・登記所などでの登記が必要な場合、
・教会や寺院、モスクなどで司教などの宗教関係者の
承認を得なければいけない場合、
・警察署や税務署などの国もあります。
本当に千差万別ですので、日本以外での婚姻を
成立させる場合は、事前に調査をする場合が
ほとんどです。
ただ、日本とかかわりが深い国、
中国、韓国、フィリピンなどの国は、今まで多くの
事例がありますので、役所に問い合わせれば教えて
くれる場合もあります。
では、実際にBさんの本国で婚姻を有効に
成立させてそのまま、Aさんが「婚姻届」を
役所に提出すれば受理されるでしょうか?
Aさんが、日本に帰国、もしくはB国在日本大使館に
日本式の婚姻届だけを出しても、受理はされません。
「日本の方式以外」の方法で婚姻を成立させた場合、
本当にその婚姻が、
その国の方法で正しく行われているか?
有効な法的効力があるのか?
を婚姻届だけでは、確認することができないからです。
日本法以外の方法で婚姻を成立させた場合、
その本国の官憲
(公的な証明書を発行する権限をもった機関)の
証明書=婚姻証明書を添付して婚姻届を出す
必要があります。
その国の間違いがない公的な機関がお墨付きを
つけないと、本当かどうかわかりませんから。
この婚姻証明書の発行も、各国の制度によって
違いがあります。
国によっては、裁判所や、登記所、役所などの公的
機関なども場合もあれば、税務署、警察署、弁護士など
もあります。
また、司祭など宗教関係の書類が正式な証明書
となっている場合もあります。
そういった機関や、権限がある「官憲」から
当該地での婚姻が法的に有効に成立していると
する証明書を入手することが出来たら
その書類は当然、現地の言葉で書かれている事に
なります。
この添付する婚姻証明書が日本語以外の
現地の言葉で書かれている場合は、
訳文を添付しなければいけません。
その訳文を作った人は、翻訳者として訳文に署名する
必要があります。
(昭和25/5/28民事甲1194号、昭和28/8/15民事甲1458号、
昭和40/12/20民事甲3474号、昭和42/12/22民事甲3695号)
(渉外戸籍実務研究会「渉外戸籍実務の処理」237項)