
スペイン語との出会い
西田 依麻 准教授
「私、生まれる前からスペイン語と出会ってました。」と言ったら皆さんは驚かれるでしょうか。実際、私もその事実を知ったときには大変驚いたものです。
私の父は大学に在籍中休学をし、世界中バックパックの旅をしていたことがありました。およそ2年間の大冒険であったと聞いています。訪れた国々の中にもちろん、スペインも含まれていました。
数年前のことです。私は、その時はすでに他界していた父が残した「世界バックパック日誌」をなにげなく読んでいました。「南欧の国、スペインに入国した。5月27日のことである。」これを読んだ時、自分の中で一瞬時が止まりました。この5月27日というのは私の誕生日だからです!なんという偶然でしょう!当時の父は20代前半の大学生。大学を卒業し、就職をし、のちに結婚する母と出会い、そして私が生まれるずっとずっと前の話です。1年間は365日ありますから1/365の確率です。こういうことってあるんだなって、なんだか運命のようなものを感じました。
大学での専攻はスペイン語でした。学部が一つしかないミッション系のこじんまりした女子大学でした。学科の先生のおよそ半分がスペイン人でした。そのうち二名がシスターでした。今でもこれほどネイティブの先生が多いい学科はないのではないでしょうか。
月曜日から金曜日まで午前も午後もスペイン語のクラスで時間割が埋まっていました。毎日のように小テストもありました。90分の授業を前半グループと後半グループに分けて、1グループ45分間スペイン人の先生の後に続きひたすら音読だけをするという「発音」の授業がありました。とても印象的で今でもよく覚えています。さらには今、教員となった私からしてみると、90分間ノンストップ、立ちっぱなしで、大声で音読してくださっていた先生の方がよっぽど大変であったろうと思います。
スペイン人と聞くと「時間にルーズ」「時間に対しあまり細かくない」というイメージを持たれる人が多いと思います。私が大学で学んでいた時も、なんとなくそんな雰囲気を感じる取ることがありました。「1時限の9時スタートは、なんとなくせわしないですよね。。。9時15分から授業を始めることにしませんか?朝15分のゆとりは、かなりありがたいですよね。」と、ある先生が提案されました。またある日は待てど暮らせど先生が教室に来てくださらない。ようやくお見えになったのは授業開始時刻60分を過ぎてからのことでした。しかも満面の笑みでのご登場。元気な声で「¡Hola!(こんにちは!)」と。全くもって申し訳なさそうな表情はありませんでした。カルチャーショックでありましたが、これもスペイン文化を学ぶ絶好の機会でした。
こじんまりした大学で4年間私はみっちりスペイン語を学ぶことができました。小規模な大学ならではの利点です。そしてどの先生も驚くほど教育熱心でした。(そしてちょっぴり個性的。)
最後に一つエピソードを挙げましょう。ある曜日の昼休み、ひとつ教室を開放し、スペイン人シスターの先生が会話練習をしてくれるという非公式の科目?を開講してくださっていました。(外国語学部で開いているLanguage Expressに近いものでしょうか。)学生が一人も来ずとも、シスターはその教室にずっと一人で昼休みの時間中、学生が来るのを待ってくださっていました。
このように、今思い出しても非常に恵まれた教育環境の元、私や私のクラスメートたちはスペイン語を学ぶことができました。こういった経験を活かし、本学でもきめ細やかな指導をしていきたいと思っています。

ブルゴス大聖堂
イベリア半島で最初に建てられたゴシック様式の大聖堂です。
かの英雄エル・シッドの墓所もあるこの大聖堂は、着工より300年もの時を経て完成しました。澄み渡った青空と白い大聖堂のコントラストが美しいですね。

サン・ミゲル市場
マドリードにある伝統的な市場。食料を買うことができますが、その場でタパスやピンチョスを頂くこともできます。もちろん見て回るだけでもすごく楽しい!