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「他人に迷惑をかけてはいけない」か? -フランス語との出会い
熊谷 謙介 教授
私が大学に入学したのは、1990年代中盤でした。そのころ、第二外国語と言えばドイツ語かフランス語の二択で、スペイン語や中国語、朝鮮語(当時はそう言っていました)は履修する人が本当に少なかったのです。今考えれば、近くの国々を無視した西欧偏重というのか…。その点、現在は多様化が進んだ「正常化した」時代だと思います。
そんななか、私は言語学に興味をもっていたので、とにかくたくさんの言語を勉強しよう!と思い、最初の2年間はドイツ語にフランス語、ギリシャ語まで勉強しました。ギリシャ語クラスは少人数のため、すぐに訳読の順番が回ってきて、とくにクラスメイトが休むと大変なので、おたがい休まないように、妙な団結精神?があったように覚えています。歌うようなイントネーションが魅力的で、今でもそこだけは覚えています。
3年生で専門として選んだのがフランス語でした。いろいろと理由はあるのですが、ここでは2年生のときに出会ったフランス人の先生の印象的なエピソードを話します。
授業中にストライキの話になりました。フランスでは当時、交通機関はじめ長期にわたってストライキが行われていました。ナイーブな私は、「地下鉄やバスがストップするとみんなに迷惑をかけてしまうのではないか」と言ったのですが、その先生は、「でもそれしか訴える方法がない人のことも考えてみて」と答えました。実際、交通機関の利用者の多くは、大変だけど彼らがストライキをする権利には賛同する、と口々に言っていて、ああ、日本とは違う考え方なんだなと痛感しました。
また、地下鉄が使えないということで、パリのセーヌ川の遊覧船で通勤するニュースも聞いて、こんな状況まで半分楽しんでしまう、フランスのライフスタイルにも驚きました。
今にして思えば、こんなちょっとしたカルチャーショックが、フランス語を深く勉強するきっかけになったのかなと思います。みなさんにもショックを与えられる?授業ができるよう、日々精進していければと思っています。
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セーヌ河畔の風景。奥に遊覧船が見えますが、寒い時期でもテーブルでおしゃべりをしています。