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我が家ではウィメン事件と呼ばれております

 我が家の息子は、私の母校である商業高校に在籍中で、ただ今2年生。 春には進級し、進路も決めなければならない。本人は、県外に進学を希望している。
まぁ、私も反対はしないのだが、少し寂しがり屋さんなのが気にかかるところ。
県外で1人暮らしできるのかどうか。そこも心配なところ。
でも本人の希望は叶えてやりたいところでもある。
 
 そんな息子が何やらネット通販で買いたいものがあるらしい。
今までは、息子の欲しいものをネット通販で購入するときは、私がジャングルの奥地から購入していた。だが、今回は違う街から購入したいという。
まぁ、1人暮らしの練習も兼ねて自分で購入させることにした。
 
初めてという事もあり、私に確認しながら自分のスマホで手順を進めていく。
 商品をカートに入れ、支払いを代金引換にし、代金引換の意味を私に確認しながら進めていった。無事に購入手続きが終わると満足げにドヤ顔をしてみせ、商品が届くのを心待ちにしていた。

 商品が届いたのは翌々日、お年玉をはたき買ったものはスニーカー。

受け取るとすぐに、
「ねぇねぇ、開けていい?」
と目をキラキラさせながら聞いてくる。
「あなたが買ったものだけん、開けたかったらどうぞ。」
と私が言うのと同時に段ボールを嬉しそうに開けていた。

「ちょっと履いてみるけん。」
そう言ってニコニコしながらスニーカーの中の詰め物を出し、片足履いてみたところ。
「あら?あれ?サイズが違う?なんで?」
と何やら大慌て。
次第に目が宙を泳いでいくのが分かる。

「どげしたかね?」(どうしたの?)
と見かねた祖母が声をかけた。
すると、
「足の幅がチョー狭い。長さも短い。足が呼吸困難で死にそうだ。」
と、眉間にしわを寄せながらへの字に曲がった口で言う。

「サイズ間違えて注文してない?」
と私が言うと、
「いや、しゃんことない。ちゃんと26センチ注文した。」
(いや、そんなことない。ちゃんと26センチ注文した。)
と半分ふてくされている。

もう片方のスニーカーを私が手に取り、よく見ると、確かに幅が狭い。
何やら細長いのだ。私がスニーカーについているタグを確認すると、
タグにはウィメンズと記載されていた。
「あんたさんさ、これ女性ものじゃない?ウィメンズって女性ものの意味のはずだよ。」
「は????」
と眉間にしわを寄せつつ目を見開いて私を見つめる息子さん。
「ググってみ?」
と私が言うと。すぐさまスマホで確認し始めた。
「ほんとだ。女性ものだ」
「でも、メンズってあったけん。男物だと思っとった。」
と肩を落とす息子。
「じゃぁ、その前についとるウィは何だと思っとったかね?」
と私が聞き返すと、息子は大きく手を広げ
「ウィーメーンズ。私達は男だ!って意味だと思っとった。」
と胸を張って豪語した。

「あんたねぇ・・・・」
少々あきれ顔の私だったが、息子の目はマジだった。

息子のその顔を見て、私も祖母も、のたうちまわって笑ってしまった。

「そりゃ、あんたさん、足の大きい女の人のスニーカーだねぇ。幅が狭いのも納得だわ」
と、私が言い始めると同時に息子は返品手続きを検索し始めた。

「今回はいい勉強になりました。」
と言い捨てながら肩を落とし返品準備を始める息子。
「今度は間違えるじゃないよ。」
「わかっとるけん。もう間違えらんし!」
とぶつぶつ言いながら梱包していた。

 息子よ、母も高校時代は英語が得意ではなかった。それを受け継いでしまったか。商業高校は普通高校と英語が違うもんね、ってことにしとくか。


では、みなさんご一緒に!  両手を大きく広げてはい!
ウィーメーンズ!!

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