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130万円の壁

最近ニュースで130万円の壁、106万円の壁という話しがでてきます。

前回、所得税の103万円の壁について書きましたが、この130万円、106万円の壁は社会保険料についての話しです。

2024年9月現在、101人以上の企業においては以下の条件を満たす従業員は社会保険の加入が義務付けられています。
・週の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金が月額88,000円以上(残業代、賞与は含まない)
・2ヶ月を超雇用の見込みがある
・学生ではない

つまり、従業員が101人以上の会社で、学生でない主婦のパートやアルバイトの場合、年収が1,056,000円以上になれば社会保険に加入する義務があります。
 88,000✕12ヶ月=1,056,000円

この1,056,000円を四捨五入して106万の壁と言っています。

101人未満の会社であれば、社会保険料の加入義務は年収が130万円以上の方になります。これが130万円の壁です。

いま話題になっているのが、従業員101人以上が、2024年10月からは従業員が51人以上の会社が対象になるということです。

この話、もっとメディアで取り上げてもいいと思う話ですよね。

何がやばいかというと、会社の従業員の社会保険料は従業員負担分と会社負担分があるということです。

会社は従業員が本来負担すべき社会保険料を従業員に変わって半分負担しているのです。

今回の改正で106万円の壁の対象が増えることで、パートやアルバイトの社会保険料が発生することになります。その分会社の社会保険料の負担も増えます。

社会保険料は給与の約30%を従業員と会社で折半しているため、新たに増えた社会保険料対象者の給与の15%分の社会保険料が会社の純増となります。これかなりやばいと思います。

小規模な会社で、パート、アルバイトの比率が高い会社は利益が吹っ飛ぶかも知れません。

所得税や法人税などの国税は減税されているイメージがあるかも知れませんが、社会保険料はずっと増え続けているように感じませんか?

減税と言っている裏で、社会保険料を通じて実質増税されているのでは?と思ってしまいますよね。

日本の人口構成と年金の仕組み上、こうなることはある意味仕方のないことかもしれませんが、それでも若い世代の負担が大きすぎますよね。若者が将来を悲観してしまうのも頷けます。

今回の改正で、今後は低所得者にもその負担を増やすことになり、ますます給与の手取り額が減っていくイメージです。

社会保険料は所得税と違い、高所得者には上限があります。社会保険料を算定する標準報酬月額というものがありますが、下限は先ほども出てきた8.8万円、上限は65万円となっています。

この上限を上げるというのも一つの方法かも知れませんが、そうすると会社の社会保険料負担額も増えるので悩ましいところです。高所得者の個人負担を増やすということも考えられますが、大きな反発が出るかもしれません。

今後の年金制度の動向はこれからも注目していきます。それではまたです。


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